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欲に従う者はさまよう猿のごとし


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📜 引用原文(日本語訳)

恣のふるまいをする人には、
愛執が蔓草のようにはびこる。
林のなかで猿が果実を探し求めるように、
かれは(この世からかの世へと)あちこちにさまよう。
――『ダンマパダ』 第三章「愛執」より(四)


🔍 逐語訳・語句解説

  • 恣のふるまい:自制なく、欲望の赴くままに行動すること。自己放任、放逸。
  • 愛執が蔓草のようにはびこる:執着心が際限なく広がり、心を覆い尽くす。止まることのない欲望の増殖。
  • 林のなかで猿が果実を探し求めるように:次から次へと対象を求め、落ち着きを知らない状態のたとえ。
  • この世からかの世へとあちこちにさまよう:現世だけでなく来世に至るまで、執着により迷い続ける輪廻の比喩。

💬 全体現代語訳(まとめ)

自分の欲望を制御せず、思うままに振る舞う者は、愛執(欲や執着)が蔓延し、心の中を覆い尽くしていく。まるで森の中で果実を次々と探して飛び回る猿のように、その人は常に何かを求めてさまよい、心の安住を得ることができない。そしてその迷いは、この世だけでなく、死後の世にまで及ぶのである。


🧭 解釈と現代的意義

この句は、人間の**「際限なき欲望の追求と精神的な不安定さ」**を警告しています。欲望に支配された心は、決して満足を知らず、次から次へと対象を求めて動き続ける――それはまさに、果実を探して木々を渡り歩く猿のようなものです。

現代社会においてもこの状況は顕著です。スマートフォンの通知、SNSのいいね、商品の購入、新しい目標…どれもが「もっと」「次へ」と心をそわそわさせ、今この瞬間に落ち着くことを許しません。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
常に“次”を求める危険性成果や評価、報酬に対する飽くなき欲望が、心の平穏と倫理的判断を奪っていく。
キャリアと焦燥感一つの役割に落ち着かず、「もっと上」「もっと外へ」と移ろう者は、長期的な信頼やスキルの深化を得にくい。
企業戦略の迷走消費者トレンドばかりを追い求めると、企業の軸が失われ、本来の価値を見失う危険がある。
マルチタスクと心の分散あれもこれも手を出すと、どれも中途半端になり、成果よりも“迷走”が蓄積される。集中が肝要。

🪷 心得まとめ:感興のことば

「欲を追いかければ、心は猿のようにさまよう。
静まり、足元を見よ――そこに智慧がある」

『ダンマパダ』は、欲望に流されること=根無し草の生き方であると説きます。猿のように果実を求めて木々を渡り続ける者は、永遠に「足る」を知らず、どこにも安らぎを得られません。
今ここに立ち止まり、自らの心を観察し、欲を手放すこと――それが「自由」への第一歩です。


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