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善を実行する者に、今も来世も安らぎがある


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■引用原文(『ダンマパダ』第十三章 第168偈)

奮起てよ。怠けてはならぬ。善い行ないのことわりを実行せよ。ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。
― 『ダンマパダ』第168偈(中村元訳)


■逐語訳(意訳を交えた逐文解釈)

  • 奮起てよ:精神を奮い立たせよ。自らを目覚めさせ、立ち上がれ。
  • 怠けてはならぬ:気力や努力を放棄するな。だらしなく生きてはならない。
  • 善い行ないのことわりを実行せよ:道理にかなった善行を実際に行え。善の理(ダルマ)を知るだけでなく実行せよ。
  • ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す:善き行為を実践する者は、現世でも死後の世界でも、心安らかに生き、また眠ることができる。

■用語解説

  • 奮起(ふんき):自己の内なる力を奮い立たせ、怠惰を排して前に進む意志の発露。
  • 善い行ない(クシラ):正しい倫理・道徳にかなった行動。慈悲・誠実・不害などを含む。
  • ことわり(法、ダルマ):宇宙・社会・個人を貫く正しい道理、行動の規範。
  • 安楽に臥す:心の安らぎのなかで、安心して生きること。または死後も安寧を得ること。

■全体の現代語訳(まとめ)

「自分自身を奮い立たせ、怠けずに努力しなさい。正しい善き行いを、理にかなったかたちで実践しなさい。そのように道理に従って生きる人は、この世においても、死後の世界においても、心安らかに生きることができるのだ。」
――これは、知るだけでなく、行動をもって徳を体現せよという仏陀の厳しくも温かい勧めである。


■解釈と現代的意義

この偈は、「知識」や「理想」にとどまらず、「実践」を重視する仏教の姿勢を端的に示しています。どれほど高尚な理念を抱えていても、それが行動として表れなければ意味がない。善をなすことに怠けてはならず、自らの内から奮い立つ必要があるのです。

現代社会においても、情報や価値観が氾濫する中、「何をなすべきか」は多くの人が理解しています。しかし、それを「行動に移すこと」が難しい。この偈は、そうした私たちに「動け」と励まし、行動が心の安らぎを生むと教えてくれます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
行動重視戦略や理想を語るだけでなく、地道な一歩を踏み出すことが重要。実践なき理想は空虚である。
自己啓発誰かに鼓舞されるのを待つのではなく、自らの内からやる気を奮い立たせる力が必要。
継続する力怠惰に流されず、善行や価値ある行動を習慣として実行し続けることが、長期的な成果と信頼を築く。
心の健全性倫理的に正しい行いをしている人は、仕事でもプライベートでも「後悔」や「隠し事」が少なく、心が穏やかでいられる。

■心得まとめ

「善を知るだけでは足りない。立ち上がり、善を行え。」

仏陀のこの偈は、私たちに「気づき」とともに「行動する勇気」を求めています。
それは、結果として得られる報酬よりも、「心の安らぎ」「人生の充実」という形で現れます。
迷ったときには、善き道理に従い、一歩踏み出す。――その積み重ねが、あなたをこの世でもあの世でも支えてくれるのです。


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