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本質を貫く

知識は積み重ねるだけでは道にならない。
孔子は、自分を「博学な人」と考える弟子の子貢に対し、はっきりと否定してみせた。
「私は、多くを知っているのではない。ただ、一つの道理をもって、すべてを貫いているだけだ」と。

学びの核心は、雑多な知識ではなく、根本にある一つの原理を深く理解し、そこから物事を見通すこと。
「一以て之を貫く」——これは、孔子の学びの姿勢、そして人生のあり方そのものを表している。

知識の海に溺れるのではなく、一本の軸を持って貫く。そこに、ぶれない知恵が生まれる。


原文とふりがな

「子(し)曰(い)わく、賜(し)や、女(なんじ)は予(われ)を以(もっ)て多(おお)くを学(まな)びて之(これ)を識(し)る者(もの)と為(な)すか。対(こた)えて曰(い)わく、然(しか)り。非(あら)ざるか。曰(い)わく、非(あら)ざるなり。予(われ)は一(いつ)を以(もっ)て之(これ)を貫(つらぬ)く」

学びの本質は、**「一」**をつらぬくことにある。


注釈

  • 「予」:孔子自身のこと。「われ」と読む。
  • 「一以て之を貫く」:一つの原理・理念で全ての学問・実践を貫いている、という意。孔子の道(仁)が中心にある。
  • 「多くを学びて之を識る」:知識を幅広く学び、それらを記憶している、という意味。
  • 「非也」:そうではない、という明快な否定。知識の集積に価値を置かない孔子の哲学がにじむ。

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