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変化するものと、変化を観るもの


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「プラクリティ(根本原質)とプルシャ(個我)とは、二つとも無始であると知れ。
諸変異と諸要素とは、プラクリティから生ずるものと知れ。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第19節)


■逐語訳

プラクリティ(自然・物質的根源)とプルシャ(魂・意識存在)は、
どちらも始まりのない永遠の存在であると知りなさい。
私たちが経験する変化(喜怒哀楽・形・行為)や、
五大要素・感覚などの構成要素はすべて、プラクリティから生じたものである。


■用語解説

用語意味
プラクリティ(Prakṛti)宇宙の根本物質。五大要素や感覚器官・心・知性などを含む自然的・現象的側面。変化し、作用するもの。
プルシャ(Puruṣa)真我・魂・観照者としての意識存在。変化せず、ただ「見る」立場の者。
無始(アナーディ)始まりも終わりもない永遠性を示す語。
諸変異(ヴィカーラ)変化する現象全体(感情・行為・老化・死など)。
諸要素(グナ)サットヴァ(純質)・ラジャス(激質)・タマス(暗質)の三属性。プラクリティの構成原理。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、世界を構成する「自然(プラクリティ)」と、「意識(プルシャ)」は、どちらも宇宙の初めから存在していると説く。
変化する世界、物質、感情、行動――これらはすべてプラクリティの働きによるものであり、
それを“見つめる者”としての意識(プルシャ)は、変化せず、観察するだけの存在である。


■解釈と現代的意義

この節は、物質世界の変化(身体・思考・感情・出来事)と、変わらずにそれを見つめる意識(魂)をはっきり区別する視点を与えています。
人生の混乱や喜怒哀楽のただ中にあっても、「それを観るもう一人の自分がいる」と気づくこと――そこに安らぎと自由がある、という霊的心理学の核心です。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
変化と本質の区別組織の制度・メンバー・環境は変わっても、「存在意義(プルシャ的な軸)」が明確ならブレない戦略が立てられる。
感情のマネジメント怒りや不安などの感情も“プラクリティの現象”と見れば、巻き込まれずに客観的に対処できる。
個と集団の理解組織は“構造・役割”としてのプラクリティであり、そこにいる個々の意識や想い(プルシャ)を大切にすることで調和が生まれる。
リーダーシップ常に変化する状況の中でも、「自分は何を見つめているのか」を保ち続けることが、信頼と指針となる。

■心得まとめ

「動きに飲まれず、動きを見つめよ――そこに智慧は宿る」

『バガヴァッド・ギーター』は、世界が変わり続けるのは自然(プラクリティ)の本性であり、
私たちの本質(プルシャ)はそれを“見る者”としての意識であると教えています。
現代のビジネスや人生においても、混乱の中で「変化に巻き込まれる存在」から「変化を見つめる存在」へと立ち位置を変えることで、
真の冷静さ・判断力・創造力が開花していくのです。

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