MENU

自然を語るときに俗が漏れるなら、まだ心は俗世にある

都会を離れて自然に暮らす――その選択は清らかでも、語り方に執着が残っていれば、まだ本質には達していない。
田舎暮らしの魅力をしきりに語る人は、逆説的にその新鮮さに心を奪われている。
名誉や利益を否定しながらその話をやめられない人もまた、欲望の執着を断ち切れていない。
真に心が静まり、俗を離れた人は、語らずともその姿ににじむ。語りすぎる者ほど、まだ俗世を背負っているのだ。


引用(ふりがな付き)

山林(さんりん)の楽しみを談(だん)ずる者は、未(いま)だ必(かなら)ずしも真(しん)には山林の趣(おもむ)きを得(え)ず。
名利(めいり)の談(だん)を厭(いと)う者は、未(いま)だ必(かなら)ずしも尽(ことごと)くは名利の情(じょう)を忘(わす)れず。


注釈

  • 山林の楽しみ:田舎暮らしや隠遁生活に伴う清閑な喜びのこと。
  • 談ずる:語る、話題にすること。
  • 未だ必ずしも~ず:必ずしも~とは限らない、の意。
  • 名利:名誉と利益。世俗的な欲望の代表。
  • 尽くは忘れず:「完全には忘れられていない」の意味。まだ執着が残っている様子。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次