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感覚に映りながら、感覚に縛られぬもの


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「それは一切の感官の属性を持つかのようであるが、一切の感官を離れ、
執着なく、一切を支え、〔プラクリティの〕要素を持たず、しかも要素を享受するものである。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第14節)


■逐語訳

それ(ブラフマン/真理)は、まるで感覚(見る・聞く・味わうなど)を持っているかのように働いているが、
実際には感覚器官に依存せず、
何ものにも執着せず、
すべてのものを支え、
自然(プラクリティ)の構成要素を本質として持たず、
しかもそれらの要素の働きを経験・享受しているように見える存在である。


■用語解説

用語意味
感官の属性(インドリヤ・グナ)視覚・聴覚・嗅覚など感覚の働き。
離れる(ヴィヴァルジタ)所属せず・依存せずに在ること。
執着なく(アサクタ)結果や所有にとらわれない状態。
一切を支える(サルヴァ・ブフリト)宇宙全体を内から保ち、維持する力。
要素(グナ)サットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(暗質)の三属性。
享受する(アヌバンダ)経験し、関わっているように見えること。

■全体の現代語訳(まとめ)

真の自己(または神/ブラフマン)は、五感を通して世界に働きかけているように見えるが、
実はそれらに依存しておらず、
どの結果にも執着せず、
万物を支えながらも自然の性質(三属性)に染まらず、
それらを観察・経験する観照者として存在している。


■解釈と現代的意義

この節は、「関わりながらも、巻き込まれない」という理想の在り方を示しています。
五感や欲望の世界に身を置きつつも、それに支配されず、かつ調和を保って生きる――それが霊的成熟の姿です。
まるでプレイヤーでありながら、同時に観客であるような生き方です。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
客観性と関与の両立チームに深く関わりながらも、個人的感情に巻き込まれないリーダーが、最も公平で強い存在になる。
冷静な判断力業績や競争に関わっていても、それに執着せず、大局的判断ができる人が組織を安定させる。
ストレス耐性感情や評価に振り回されず、状況を「観察する視点」を持つことで、精神的な自由が保たれる。
本質的価値の追求成果や報酬だけでなく、「どう生きるか」「どう関わるか」を大切にすることで、持続可能な信頼が築かれる。

■心得まとめ

「関わりながらも、巻き込まれない――それが本当の強さである」

『バガヴァッド・ギーター』は、五感や行為、自然の属性の中に身を置きつつも、それに支配されず、観照者として生きる智慧を説いています。
現代社会においても、忙しさや競争に巻き込まれそうなとき、
「自分はそこにあっても、それに縛られない」という視点を持つことで、冷静さと自由を保つことができます。
それこそが、成熟したプロフェッショナルの在り方なのです。

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