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見た目は立派でも、内面が伴わなければ共には歩めない

曾子は、子張の外見的な立派さを一応は認めながらも、
ともに仁をめざす仲間にはなりにくい」と評した。
その理由は、子張が外面を飾り、威圧的であったり、内面の誠実さに欠けていたからである。

「堂々たる姿」だけでは仁は育たない。
仁をともに学び、実践していくには、素直さ・協調性・誠意ある人間関係が不可欠だ。
見た目の堂々たる風格は、時に孤高さや他者を遠ざける印象ともなりうる。

この章は、外見の立派さと、人間関係における本質的な信頼や共感力との違いを、曾子の厳しい眼差しで描いている。


原文と読み下し

曾子(そうし)曰(い)わく、堂堂(どうどう)たるかな、張(ちょう)や。与(とも)に並(なら)んで仁(じん)を為(な)し難(がた)し。


意味と注釈

  • 堂堂たるかな
     外見・態度がいかにも立派で、威厳や風格がある様子。表向きには尊敬を集めそうに見える。
  • 張や
     ここでの「張」は子張のこと。彼の外見や振る舞いの印象について語っている。
  • 並んで仁を為し難し
     ともに修養し、仁の実践を目指すには向かない。共に歩むには心のあり方が違う、という距離感を含む。
  • 背景補足
     子張は才能と実行力を評価される一方で、他の弟子から「誠意・柔和さ」に欠けるとの批判を複数受けており、この章もそれを裏付けるものとなっている(→第485条も参照)。

パーマリンク(英語スラッグ)

no-virtue-in-appearance-alone

他の候補:

  • outer-grandeur-inner-gap
  • hard-to-walk-with
  • looks-impress-heart-connects

この章句は、**「見た目は立派だが心の響き合いがない人とは、真の道を共に歩めない」**という教訓を端的に語り、
人間関係における本質的な親和性と信頼こそ、仁の実践に不可欠であることを説いています。

1. 原文

曾子曰、堂堂乎張也、難與竝爲仁矣。


2. 書き下し文

曾子(そうし)曰(いわ)く、堂堂(どうどう)たるかな、張(ちょう)や。与(とも)に並(なら)びて仁(じん)を為(な)し難(がた)し。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 曾子曰く、堂堂たるかな、張や。
     → 曾子は言った。「なんと堂々たる人物であることか、子張は。」
  • 与に並びて仁を為し難し。
     → 「だが、彼と並んで仁を実践するのは難しい。」

4. 用語解説

  • 曾子(そうし):孔子の高弟。孝を重んじ、内面的な徳を重視する人物。『大学』の著者ともされる。
  • 堂堂(どうどう)たるかな:威厳があり、外見や振る舞いが立派であるさま。
  • 張(ちょう):子張。能力や行動力に秀でる一方、内面の徳や柔和さに欠けるとされる人物。
  • 与に並びて仁を為す:ともに協力して「仁(人間愛・思いやり)」を実践すること。
  • 為し難し(なしがたし):実行するのが難しい、または協調が困難であること。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

曾子はこう言った:
「子張は実に堂々とした人物だ。しかし、彼と並んで“仁”を実践するのは難しいことである。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、**「外面の立派さと内面の徳のズレ」**に着目しています。

  • 子張は堂々たる存在感を持ち、外から見れば優れた人物に見える。
  • しかし「仁=人間愛・思いやり」を共に実践するには、内面的な共感性や柔和さが欠けていると、曾子は見ている。
  • ここには、「人の真価は内面にある」という儒教的倫理観がはっきり表れています。

7. ビジネスにおける解釈と適用

✅「立派に見えても、チームで仁を実践できるとは限らない」

見た目や実績だけで評価せず、その人が他者と共感し合い、協働できるかを見極めることが重要。

✅「威圧的なリーダーは協働を阻む」

外見や発言が堂々としていても、その背後に共感や信頼が伴わなければ、共に“徳”を目指すのは難しい。

✅「内面の調和がなければ“仁の実践”は困難」

共に働く上で大切なのは、行動の派手さではなく、他者との協調・理解・思いやり
見栄えよりも、感情のつながりや信念の共有がチームワークの鍵。


8. ビジネス用の心得タイトル

「堂々たる者、必ずしも仁ならず──見た目より“共に為す心”を」
– 立派な外見や能力は目を引く。だが、共に仁を築ける人材とは、内面に柔らかさと共感を宿す者である。


この章句は、人の評価を“外見”や“能力”だけで判断してはならないという教訓を、静かに、しかし深く語っています。
現代のリーダー選び・人材評価・チームビルディングにも通じる、非常に示唆に富んだ内容です。

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