孔子は、いわゆる“人間くささ”を乗り越えた、極めて円満な人格の持ち主だった。
その特徴は、「四つのことをしない人」——すなわち、
- 思い込みで動かない(意)
- 結果を決めつけない(必)
- がんこにならない(固)
- 自己中心にならない(我)
という姿勢に表れている。
私たちはつい、「自分の考えに固執する」「これしかないと断定する」「感情に引きずられる」「我を張って人とぶつかる」といった態度に陥りがちだが、孔子はそうした偏りを避け、常に柔らかく、謙虚な心で人と接した。
柔軟で、開かれていて、こだわらず、傲らない。
これこそが、真に人を導く者の人格である。
原文(ふりがな付き)
「子(し)、四(し)を絶(た)つ。意(い)するなく、必(ひつ)するなく、固(こ)なるなく、我(が)なるなし。」
注釈
- 意(い)するなく…主観や思い込みにとらわれないこと。
- 必(ひつ)するなく…何事にも「必ずこうだ」と決めつけない柔軟さ。
- 固(こ)なるなく…頑なでなく、融通がきく姿勢。
- 我(が)なるなし…自我を抑え、他人に対して謙虚でいること。
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