多くの企業が経営計画書を持たず、日々の管理に留まっている現状がある。
しかし、経営計画書は単なる書類以上のものであり、社長自らが策定することで会社の方向性が明確になり、その意志が社員や関係者にも伝わる。
競争力を高め、持続的な成長を実現するには、計画書の存在が不可欠であり、会社全体に大きな変革をもたらす力を秘めている。
経営計画書の不足とその必要性
経営計画を策定している企業は意外にも少ない。初めて訪れる企業の中で、経営計画書を保有しているところは多くないのが現実である。
時々見かけることがあっても、それは経営計画書ではなく、管理計画書に過ぎない場合がほとんどである。このようなものでは十分ではない。
社長自らが作成した経営計画書がなければ、正しい事業経営は成り立たない。その理由は、経営計画書以外には、社長が自社の全体像を把握し、理解するための方法がないからである。
競争力強化のための計画
自社を理解せずに事業経営ができるはずがない。しかし、経営計画の目的は単に自社を理解することではない。
それは、あくまでも競争に勝ち抜き、市場や顧客の要求の変化に対応し、持続的に成長していくための条件を定めるものである。
その経営計画を作成する過程で、自然と自社を深く理解することができる。
しかし、それは想像以上に厳しい作業であり、同時に今までいかに無頓着で怠慢だったかを痛感させられる瞬間でもある。
社長は、事態の厳しさを理解することで、自身の責任の重大さを再認識すると同時に、それに立ち向かう決意と闘志が湧き上がるのである。この瞬間、社長の覚悟が固まるのである。
社員・社外への影響
しかし、それには社員を指揮し、協力を得る必要がある。ここで、リーダーシップの重要性が浮かび上がるわけだ。
では、そのリーダーシップをどのように発揮するべきか、という問題が次に立ちはだかる。
リーダーシップにおいて最も重要なのは、「自分の意図を明確に示す」ことである。これを実現するための最大の手段が、経営計画書にほかならない。
経営計画書がもたらす変革
社長の決意や目標、方針、行動指針などが明確に示されることで、社員はそれに動機づけられるのである。
その証拠に、経営計画発表会で社長が方針を説明すると、社員たちの目の輝きや動作がその場で変わるのがはっきりと見て取れる。
この瞬間を境に、社員たちの意識と行動が変わり始めるのだ。
さらに、発表会にはメインバンクの支店長や顧客数名、場合によっては筆者が行う「経営計画実習ゼミ」で知り合った社長なども招待することがあるが、社長の方針説明は彼らにも大きな感銘を与える。
その結果、メインバンクの支援体制も一変するのである。これほど心強いことはない。このようにして、経営計画書によって会社はまったく生まれ変わるのだ。
会社に奇跡をもたらす経営計画書。それは、社長自身の責任と意思で作成されたものであり、社長一人の決意と行動で会社の未来が大きく変わるものなのだ。
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