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礼の分を越える者は、人の道を外れる

地位や身分にふさわしい礼儀をわきまえることは、社会の秩序を保つ基本である。
魯の大夫である三家(季孫・叔孫・孟孫)が、自らの家の祭りで本来天子のみに許される「雍(よう)の詩」を用いたことに対し、孔子は強く非難した。
雍の詩は、天子が宗廟の大祭で歌うものであり、大夫ごときが用いるのは僭越(せんえつ)で礼に反する。
このように礼を無視し、自らの身のほどをわきまえぬ者は、どれほど権力があろうとも信頼に値しない。

「相(たす)くるは維(こ)れ辟公(へきこう)、天子(てんし)は穆穆(ぼくぼく)たり。奚(なん)ぞ三家(さんけ)の堂(どう)に取(と)らん」

礼を乱す者に、まっとうな徳はない。地位ではなく、節度こそが人を高める。


※注:

  • 「三家」…魯の権力大夫である季孫氏・叔孫氏・孟孫氏のこと。
  • 「雍」…『詩経』周頌の一篇で、天子が宗廟で用いる詩。
  • 「辟公」…諸侯のこと。天子の祭礼を補佐する立場。
  • 「穆穆(ぼくぼく)」…威厳と品位に満ちたさま。
  • 「堂」…家の礼拝の場。ここでは三家の私的な祭場を指す。
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