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世襲ではなく実力を

いかに名家の出でも、徳と才がなければ、国を害することになる――
それが太宗の時代、封建制を巡って交わされた議論の結論だった。

太宗は、周のように子弟や功臣に地方を世襲させれば、王室の安泰につながるのではないかと考えたが、李百薬や馬周の諫言によって思いとどまった。
彼らは、歴史的な成功と失敗の両例を引きながら、政治の安定とは制度ではなく人の行いによるものであり、世襲制はやがて腐敗と暴政を生む危険を孕むと説いた。

才徳ある者を登用し、功績に応じて任を授けることでこそ、国は長く安定する。
民のために働く者を選び、徳をもって治める。それが郡県制の本旨であり、未来への道でもある。


引用とふりがな

「郡県制の郡太守・県令か、封建制の諸侯か、その違いが国の興廃を握るものではありません」
(ぐんけんせい の ぐんたいしゅ・けんれい か、ほうけんせい の しょこう か、 その ちがい が くに の こうはい を にぎる もの では ありません)

「要するに、世襲の封建制さえ採用しなければ、賢人を採用する道は広がり、民に決まった封建領主さえいなければ、下々の者を手なずけるのは難しくないのです」


注釈(簡略)

  • 封建制(ほうけんせい):王族や功臣に土地を与え、統治を任せる制度。世襲を前提とする。
  • 郡県制(ぐんけんせい):中央から官吏を任命し、地方を治めさせる制度。実力主義。
  • 李百薬(りひゃくやく)・馬周(ばしゅう):いずれも唐代の有能な官吏。制度に頼らず、人材登用の重要性を説いた。
  • 曹冏(そうけい)・陸機(りくき):封建制擁護の論者として批判されている。

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