孔子は、人の上に立つ者にこそ、人としてのまごころや誠実さが求められると説いた。
もし上に立つ者が寛容でなく、礼を行っても敬意が見えず、人の死に際しても哀悼の心を持たないなら――
そんな人物に対しては、何を見てその人となりを判断すればいいのか、と嘆いた。
形式や地位よりもまず、心があるかどうか。そこに人の本質があらわれる。
「上(かみ)に居(お)りて寛(かん)ならず、礼(れい)を為(な)して敬(けい)まず、喪(そう)に臨(のぞ)んで哀(かな)しまずんば、吾(われ)何(なに)を以(もっ)て之(これ)を観(み)んや」
どれほどの立場にあろうと、まごころのない者には人としての価値を見出せない。心を欠いた人に、礼は宿らない。
※注:
- 「寛(かん)」…思いやり、包容力。人の上に立つ者に必要な徳。
- 「敬(けい)」…礼儀の中にある真心と緊張感。形だけでなく、気持ちが伴っているかを問う。
- 「哀(かな)しむ」…他者の死を悼む感情。儀礼に込められた感情の誠実さを重視。
- 「観んや」…その人の中身を何によって見極めればよいかという問い。
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