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君子は過ちを飾らず、小人は過ちを取り繕う

子夏は、過ちに対する姿勢の違いについて語った。
小人(しょうじん)――すなわち器の小さな人物は、過ちを犯すと、必ず言い訳をしようとする
自分の非を素直に認めず、外的要因を挙げたり、見かけを取り繕ったりして、責任を回避しようとする。

それに対し、他の章(第8話、第229話、第407話)に見られるように、君子は過ちをしたらそれを素直に改める
この章ではあえて、小人の姿を通して、「言い訳をしない姿勢」こそが君子の条件であることを浮き彫りにしている。


原文と読み下し

子夏曰(い)わく、小人(しょうじん)の過(あやま)ちや、必(かなら)ず文(かざ)る。


意味と注釈

  • 小人(しょうじん)
     道徳心や度量が小さい人。目先の損得や面子に囚われやすい人物像。
  • 過ちや
     ここでは「過ちを犯した時には」といった意味合い。
  • 文る(かざる)
     本来の「文(ぶん)」には美しく飾る、という意味があるが、ここでは「過ちをごまかす」「表面を取り繕う」「言い訳をする」という否定的用法。
  • 比較参考
     - 第8話:「過ちを改めざる、これを過ちという」
     - 第229話:「過ちて改めざる、是を過ちという」
     - 第407話:「君子は過ちを恐れない。ただし、改めないことを恥じる」

1. 原文

子夏曰、小人之過也、必文。


2. 書き下し文

子夏(しか)曰(いわ)く、小人(しょうじん)の過(あやま)ちや、必(かなら)ず文(かざ)る。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 子夏曰く、小人の過ちや、必ず文る。
     → 子夏は言った。「小人物は、自分の過ちをごまかし、飾り立てるものだ。」

4. 用語解説

  • 子夏(しか):孔子の高弟。理性的かつ倫理的な発言を多く残した人物。
  • 小人(しょうじん):人格的に未熟な者、利己的な人。君子(徳のある人物)の対義。
  • 過ち(あやまち):誤った行動、失敗、道徳的な過失。
  • 文る(かざる):言い訳をしたり、見た目を繕ったりして、過ちを正直に認めずごまかすこと。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

子夏はこう言った:
「小人物というのは、過ちを犯してもそれを飾り立て、正直に認めようとはしないものだ。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、過ちに対する姿勢によって人の品格が分かれることを示しています。

  • **君子(徳のある人物)**は、自らの過ちを正直に認め、反省して修正する。
  • **小人(未熟な人物)**は、体裁や立場を気にして、過ちを取り繕い、言い訳で飾る。

「謝らない」「言い訳をする」「誰かのせいにする」──そうした態度こそが、小人物たる所以であり、信頼を損なう最大の原因です。


7. ビジネスにおける解釈と適用

✅「失敗を“装う”者は、信頼を失う」

責任逃れや言い訳、過度な演出は一時的に自分を守るように見えて、長期的には信頼を損ねる。

✅「過ちを認め、修正できる者が“君子”たる人材」

上司や同僚、顧客に対して誠実に「非を認める」姿勢は、最も強い信頼の礎となる。
謝罪と修正は“品格の証”

✅「企業文化としての“誤りに寛容だが虚飾に厳格”」

ミスは責めず、虚飾・ごまかしを厳しく指導する──そんな文化が、健全で信頼される組織を作る。


8. ビジネス用の心得タイトル

「過ちを飾るな、直視せよ──“誠実な反省”が信頼を育てる」
– 小人物は失敗を隠し、偽り、飾る。だが真に信頼される者は、過ちを直視し、修正し、成長する者である。


この章句は短いながらも、「人間の誠実さ」「品格の差」「信頼の根本」を鋭く突く、実に含蓄ある言葉です。

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