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環境整備なくして事業なし:事業の成功を支える基盤

環境整備は、すべての企業活動の基盤であり、経営の成功に欠かせないものである。

企業の発展や業績向上は、まずは社内外の整備と清潔感を徹底することから始まる。F社やK社の実例を通じて、環境整備がもたらす信頼向上や社員の意識改革、そして顧客満足度の向上に至る効果を見ていく。

また、この環境整備がどのように企業の運命を左右するか、その重要性を改めて考察する。

目次

環境整備の基本とその重要性

「環境整備こそ、すべての活動の原点である」という点については、すでに『社長の姿勢』で述べたため、詳細はそちらに譲ることにするが、ここではその効果の一端を復習として触れておこう。

F社とK社の実例:環境整備が信頼を呼ぶ

F社は小型土産品を製造するメーカーで、業界でも有数の地位を築いている。しかし、バブル崩壊後の不況で業界全体が沈滞する中、平然と構えるF社を妬んでか、誰が言い出したのか分からないが、F社に関するデマが飛び交った。「この不況の中、F社長はベンツを乗り回している。こんな会社は近いうちに潰れるだろう」というものだった。

もちろん、F社長はこのようなデマを気にするような人物ではなかったが、そのデマが広がる中、ある大手問屋の社長がF社を訪れた。デマの真偽を確かめるためであることは明らかだった。

その社長は、数万点の商品が目を見張るほど整然と保管されているだけでなく、会社の隅々までチリ一つない状態に内心かなり驚かされたに違いない。

問屋の社長は帰社するや否や、「あんなに清潔で見事な整頓がなされている会社が潰れるはずがない」と感想をもらした。この言葉が業界内に広まり、「F社倒産近し」というデマは瞬く間に消え去ったのである。

K社はエレクトロ部品の大手メーカーであり、社長自らが男子トイレの清掃を行っている。しかも、便器の清掃はブラシなどを使わず、素手で行う。この社長の姿を目にした社員たちは負けじと環境整備に力を入れ、会社中の隅々までピカピカに磨き上げられている。

ある時、主要取引先の幹部がTQC(総合品質管理)査察に訪れた。K社長はこの人物を男子トイレに案内し、新しいタオルを使って便器の排水孔の最下部まで徹底的に拭き取って見せたが、タオルは一切汚れなかった。さらに、素手で爪を立てて掻いてみても、爪には何も付かなかった。

これを見た来訪の幹部は「分かった。現場を見る必要はない」と言い残して帰っていったという。まさに洞察力のある人物である。

K社は主要取引先のうち、工賃が低いためにどうしても採算が取れない一社との取引を返上した。年商にして二億円に相当する仕事だった。この決定を知った数社の社長が状況を探るためにK社を訪問した。

社内を一巡して見て回った社長たちは、あまりにも整った環境整備に一様に感嘆し、「何も聞くことはない。ぜひ、うちの仕事をしてもらいたい」と言い残して帰っていった。

これらの会社から受注した仕事は年商で四億円に上り、しかも採算性は格段に良好であった。

環境整備がもたらす社員と顧客への影響

もう一つF社に関する話がある。F社は、新潟県の赤倉スキー場の近くにある、スキー客向けの旅館を一軒買い取った。

F社長が先頭に立ち、「狭いことや古いことは恥ではない。環境整備を怠ることが恥である」というスローガンのもと、その旅館の環境整備に着手した。F社の徹底したやり方で、旅館の隅々までピカピカに磨き上げられた。

旅行業者が設定した宿賃はシーズン初めには四千円だったが、翌年の四月には六千円にまで引き上げられた。それにもかかわらず、「高い」や「サービスが悪い」といったクレームは一切なく、訪れたお客様は皆満足して帰っていったという。「宿賃を値切られるのは、値切られる側に原因がある」という私の主張が、ここでも証明されたのである。

環境整備は、これを実践した人々の心に革命をもたらす。「どんな社員教育や道徳教育も、環境整備の効果には及ばない」ということを、私自身何度も痛感させられてきた。それも、ただの一社も例外がない。多くの社長、いや、日本中のほとんどの社長がこの重要性に気づいていないことは、実に残念である。

社運を切り拓くための環境整備

社運の隆盛は「運」ではなく、自らの努力で勝ち取るものだというのが私の持論であるが、その第一歩は環境整備から始まるべきである。これは、すでに述べたように、先人たちが私たちに教えていることであるにもかかわらず、多くの人がその重要性に気づいていないのは本当に残念なことである。

環境整備という土台が整った上で経営計画を導入すると、全社員がその実現に懸命に取り組むようになる。その様子を目にした社長は、驚嘆すると同時に、社員への感謝の念が湧き上がるものである。

まとめ

環境整備は単なる清掃や整理整頓に留まらず、企業の土台を築き、社員の意識を変え、顧客や取引先の信頼を得るための戦略的要素である。

F社やK社の事例は、環境整備がデマや不採算取引のリスクを払拭し、新たな成長機会をもたらすことを示している。

こうした基盤の上で経営計画を実行すれば、社員が一丸となってその達成に向けて取り組み、企業としての隆盛を築くことができる。環境整備こそが社運を切り開く第一歩である。

企業にとって「環境整備」は、すべての活動の原点です。環境整備を徹底することで、社内に秩序と清潔感が生まれ、社員の意識や心にも大きな変化がもたらされます。社運を左右するこの取り組みは、目に見える清掃や整理整頓だけでなく、企業全体の姿勢を象徴するものです。


環境整備の成功事例

1. F社:環境整備で信頼を勝ち取る

F社は、小型土産品メーカーであり、業界で高い評価を受けています。ある不況時、「F社がつぶれる」という根拠のない噂が広まりましたが、ある問屋の社長が訪問して目の当たりにしたのは、徹底的に整えられた商品管理と、隅々まで清潔に保たれた社内の環境でした。この事実が周知され、デマは瞬く間に消え去り、F社への信頼が再確認されました。

2. K社:社長自らの行動が生む影響

K社の社長は、自ら男子トイレの清掃を行い、社内の環境整備の徹底を体現しました。ある得意先の幹部が視察に訪れた際、社長は自らトイレを清掃し、その徹底ぶりを示しました。これにより、K社は品質と信頼性を認められ、結果的に年商4億円の新規受注を獲得することができました。

3. F社の旅館事業:環境整備による顧客満足度向上

F社は新潟県のスキー場近くで旅館を購入し、徹底した環境整備を実施しました。社長自らが率先して行った清掃と整備の結果、宿賃は短期間で1.5倍に引き上げられ、顧客からの満足度も非常に高いものでした。この経験は、清潔で整えられた環境が価格に見合う価値を提供し、顧客に認められることを証明しています。


環境整備がもたらす「心の革命」

環境整備は、社員の意識に深い影響を与え、彼らの働く姿勢や社内文化を変革します。多くの社員教育や道徳教育よりも効果的であり、実践を通して全社的な向上心が醸成されるのです。


経営の基本:環境整備が計画実行を支える

環境整備は、経営計画の導入や目標達成に向けた土台を築きます。この基盤の上に全社員が計画の実現に邁進することで、社長の期待以上の成果がもたらされ、社員の一体感や貢献意識も高まります。企業の繁栄は、まず環境整備から始まり、そこから着実に築かれていくのです。

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