新商品の販売には、従来の商品とは異なるアプローチが必要です。その背景には、新商品特有の特性と、それを市場に定着させるための独自の戦略があります。
セールスマン一人当たりの売上高ばかりを追求する姿勢は、新商品の本来の価値やポテンシャルを見誤る原因となりかねません。
新商品の販売が難しい理由
新商品の販売は、既存商品と異なり、その存在や特徴をお客様に丁寧に説明するプロセスが必要です。さらに、お客様が即座に購入を決断するわけではなく、他社の使用実績の確認や自社での試用期間を設けるなど、慎重な判断を経ることが一般的です。
このため、発売初期の販売活動では、売上高よりも商品の認知度や信頼を高めることが重要となります。
発生期と成長期の戦略
新商品の市場投入後、売上が緩やかに増加する「発生期」を経て、市場での受容が進む「成長期」に入ります。
発生期では、売上の絶対額ではなく、伸び率を基準に商品の可能性を評価すべきです。この期間の粘り強い努力が、成長期における売上拡大の基盤を形成します。
一例として、狙った地域での市場占有率を10%程度まで高めることを目指す戦略が有効です。
この占有率は、新商品が市場で受け入れられる転換点とされており、この水準に達するまでは、売上高を短期的に気にせず、広範囲な販売活動を展開する必要があります。
セールスマンの役割と増員のタイミング
発生期の戦略では、セールスマン一人当たりの売上高を敢えて低く抑え、販売活動を広範囲に実施します。売上高がセールスマンの人件費の2倍程度に達した時点で、リスクを抑えつつ新商品の市場拡大に注力できる環境が整います。
この段階を超えたら、セールスマンを増員して販売力を強化し、さらなる市場拡大を目指します。
セールスマン一人当たりの売上高が人件費の3倍を超えるたびに増員を行い、販売力を増強する。この循環を繰り返すことで、新商品の市場占有率を着実に高め、持続的な成長を実現します。
成長期以降の戦略
占有率が10%を超えた時点で、セールスマンの増員ペースを緩め、一人当たりの売上高を増加させることで収益性を向上させるフェーズに移行します。
この段階では、効率化と利益確保を重視し、新商品の収益貢献を最大化します。
まとめ
新商品の販売戦略では、初期段階での売上高の低さを恐れず、市場認知の拡大と占有率向上に注力することが鍵です。発生期の適切な取り組みが成長期の成功を大きく左右し、最終的には市場での競争優位を確立する原動力となります。
コメント