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すべてに満ちるものは、決して滅びない


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■原文(日本語訳)

第2章 第17節
クリシュナは言った。
「この全世界を遍く満たすものを、不滅であると知れ。この不滅のものを滅ぼすことは、誰にもできない。」


■逐語訳

  • この全世界を遍く満たすもの(アヴャクタム・イダム・サルヴァム・タット):目には見えないが、宇宙全体に満ちている存在(=アートマン、ブラフマン)。
  • 不滅であると知れ(ヴィディ・タム・アムリタム):それは不死であり、永遠に存在すると知りなさい。
  • 誰も滅ぼすことはできない(ナ・カシャナム・ヴィナシャイットゥム・アルハティ):いかなる存在も、それを壊すことはできない。

■用語解説

  • アムリタ(不滅):死を超えた存在。魂や宇宙の根源的実在を指す。
  • アヴャクタ(不可視・非顕現):物質のように目に見えず、形を持たないもの。
  • サルヴァム・イダム(このすべて):宇宙万物。目に見える世界全体。
  • ヴィナシャ(破壊):消滅・崩壊・死。ここでは物理的な死や滅びを指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは語る。「この目に見える世界のすべてを包み込む根本的な存在は、目には見えないが、どこにでも遍く存在している。そしてそれは、決して滅びることのない不滅のものであり、どんな力でもそれを破壊することはできない」と。
これはアートマン(真我)あるいはブラフマン(宇宙の原理)の永遠性と普遍性を説く節です。


■解釈と現代的意義

この節は、「本質的なものは、目に見えなくても決して壊れない」という真理を語っています。
私たちは目に見えるもの(物質、建物、人間関係)に安心を求めがちですが、それらはすべて一時的です。
一方で、「目に見えない価値・原則・信念・魂」といった根本的なものは、変化の中でも壊れることがありません。

クリシュナは、そうした**“見えないが本質的なもの”に気づき、それをよりどころにせよ**と説いているのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
不変の価値観の保持組織理念・信念・倫理観といった“見えない資産”が長期的な信頼とブランド価値の核となる。
経営の本質的基盤目に見える売上や構造よりも、見えない信頼・ビジョン・カルチャーを守ることが組織の不滅性を支える。
精神的レジリエンス外的要因で揺らぐことのない内的安定(信念・使命感)を持つリーダーは、逆境でも強く在り続けられる。
顧客との関係性構築商品ではなく「信頼」「共感」という目に見えないものを築くことで、長期的な関係性が揺るがないものになる。

■心得まとめ

「見えぬものこそ、壊れぬ真実である」
この世のすべては変化し、消えていく。しかし、それを包み込む本質的な存在――魂・信念・理念――は、どんな力でも壊すことはできない。
真の強さとは、その“変わらぬもの”をよりどころにして生きることにある。


次節(第18節)では、「身体(滅ぶもの)」と「魂(滅びないもの)」の対比がさらに明確に語られます。

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