天命に従い、自然の道を歩む

人は、自らの天命に従って行動すべきである。

与えられた資質や役割を見極めず、無理に背伸びをすれば、必ずひずみが生じる。

不自然な振る舞いは、やがて真実を覆い隠し、己自身を滅ぼす原因となる。

身の丈に合わぬ欲や虚勢は、いずれ報いを招く。

静かに己と向き合い、何を為すべきかを知る者は、確かな歩みを重ねる。

天命とは、天から授かるものではなく、日々の実践を通して自ずと明らかになるもの。

誠をもって努め、分を守り、時を待つ。

その積み重ねが、真の成功と安定をもたらす。

人間は天命に従って行動せねばならぬもの……無理な真似をしたり不自然な行動をすれば、必ず悪い結果を身の上に受けねばならぬに決まっている。 渋沢 栄一. 論語と算盤

人がこの世に生き、働いているのは天命によるものだ。草や木には草木としての、鳥や獣には鳥獣としての天命がある。それぞれに定められた道があり、それが「天の配剤」として現れている。人間の世界でも、ある者は酒を売り、ある者は餅を売るといった違いが生まれるのも、結局は天命のなすところだ。

どれほどの聖人や賢者であっても、天命には抗えない。堯帝でさえ、自分の子・丹朱に帝位を譲ることはできず、舜帝も太子・商均に皇位を継がせることはかなわなかった。いずれも天命の定めであり、人の意志ではどうにもならない領域なのだ。

草木は草木として終わり、鳥獣にはなれない。鳥や獣もまた草木にはなれない。何に生まれ、どう生きるかは、天があらかじめ決めたものにすぎない。

だからこそ、人もまた自分に与えられた天命に従って生きるべきだということは、明らかだ。孔子の言う「罪を天に獲る」とは、おそらく本来の在り方を無視して無理な振る舞いをすることを意味しているのだろう。天命を無視し、不自然に振る舞えば、いずれその報いを受けることになるのは避けられない。

人間が無理をしたり、不自然な振る舞いをしたからといって、天が何か言葉を発して罰を与えるわけではない。ただ、その行いによって生まれる周囲の状況や結果が、やがてその人自身に苦しみとして返ってくるだけのことだ。これこそが、いわゆる「天罰」というものに他ならない。

どれだけこの天罰を避けようとあがいても、それは避けようのないものだ。自らの在り方に背いて生きれば、その報いは必ずやってくる。

無理を重ねたり、不自然な行いをすれば、その報いは必ず自らに返ってくる。因果応報の理は避けようにも避けられず、どこまでも自分の身に降りかかるものだ。