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狭く固執する知は、心を曇らせる


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■引用原文(日本語訳)

「また、ある一つの対象に対し、あたかもすべてであるかのように執着する、根拠のない、真理に暗い小知は、暗質的な知識と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第22節)


■逐語訳

ある一つの対象に対して、
まるでそれがすべてであるかのように執着する――
そのような、根拠のない、真理から外れた、
狭くて愚かな知識は、タマス(暗質)に属する知識であるとされる。


■用語解説

  • ある一つの対象:特定の人、モノ、思想、宗派、立場など。
  • あたかもすべてであるかのように執着する:視野狭窄・思い込み・排他主義的態度。
  • 根拠のない(アヘートゥカム):論理的裏付けや実証に乏しい思い込み。
  • 真理に暗い(アトットヴァールタム):本質的な理解から外れている。
  • 小知(アルパ・ジュニャーナム):狭く浅い理解。部分を全体と誤認するような知識。

■全体の現代語訳(まとめ)

一つの物事に固執して、それだけを絶対視し、
他を排除したり無視したりするような、視野の狭い、根拠のない知識は、
タマス(無知・混乱)に支配された暗質的知識とされる。
それは真理への理解から遠く、魂の成長を妨げる。


■解釈と現代的意義

この節は、視野の狭さ・偏見・執着に基づいた知識の危険性を警告しています。
「これだけが正しい」「これ以外はすべて間違い」という狭量な態度は、
個人にも組織にも社会にも分断や停滞をもたらします。
現代においては、極端な思想・陰謀論・盲信・思考停止といった形でも現れます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での例
固定観念の危険性「このやり方しかない」と決めつけると、イノベーションの芽をつぶす。
属人化・権威主義「あの人の言うことがすべて」と盲目的に従う文化は、健全な議論や是正を阻む。
情報の偏り一つのデータや報告だけを鵜呑みにして判断するのは、誤った意思決定のもととなる。
市場判断単一の成功事例や顧客像に執着すると、市場の多様性を見失い、戦略を誤る。

■心得まとめ

「一にとらわれると、すべてを見失う」
部分を全体と誤認し、根拠なく固執する知識は、暗く狭い心を生む。
『ギーター』は、真の知とは、広く、深く、静かであるべきだと教えている。
視野の広さこそが、判断の確かさと成長の鍵となる。

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