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身体の美に耽れば、歩みは泥に沈む


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📖引用原文(日本語訳)

つねにこの身体を見よ。王者の車のように美麗である。
愚者たちはそこに耽する。
老いた牛がぬかるみの泥にはまり込んだように。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第十八節


🧩逐語訳

  • この身体を見よ:自己の肉体を対象とした観察・内省を行え。
  • 王者の車のように美麗である:この身体は飾られ、立派で、まるで王の馬車のように魅力的に見える。
  • 愚者たちはそこに耽する:その魅力に溺れ、執着してしまう者たち。
  • 老いた牛がぬかるみに…:行く先を失い、足を取られ、抜け出せなくなる状態。執着によって進むことも成長することもできなくなる喩え。

🧠用語解説

  • 耽する(たんする):魅力・快楽・美に心を奪われ、深く執着している状態。
  • 老いた牛(ジーナ・ガヴィ):力なく、柔軟性を失った存在。
  • ぬかるみの泥(チーラ・シネハ):煩悩や執着に象徴される、心を濁らせ行動を阻むもの。
  • 王者の車:一見輝かしいが、実体は儚いものの象徴。外見や身体への美的執着を意味する。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

身体は美しく、魅力的に見える。それゆえ多くの人がその美に溺れ、執着する。
しかしその執着は、老いた牛が泥に足を取られるように、人生の歩みを鈍らせ、心を沈ませてしまう。
肉体の美を否定せずとも、それに囚われることの危険を見極める洞察が求められている。


🌱解釈と現代的意義

この節は、**「外見への耽溺が人を精神的停滞へと導く」**ということを、実に生々しい比喩で伝えています。
現代では、外見的な魅力や身体の美しさがSNSや広告などを通じて過剰に強調され、それに価値を置きすぎる風潮が見られます。
しかし、それに耽りすぎれば、心は柔軟さを失い、泥のような執着の中に沈んでしまう――それがこの節の警鐘です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
イメージ主導の危うさブランディングや外見的演出にこだわりすぎると、実態や本質が置き去りにされ、長期的な信頼を失う。
美意識と実務のバランス美しさ・スタイルばかりを優先すると、本質的な課題解決能力や現場対応力が劣化するリスクがある。
身体的魅力に依存しない評価軸年齢や見た目に依存せず、思考力・人間性・貢献に基づく評価基準が持続的組織を育てる。
執着の泥に気づく力社内での過剰な競争や見栄の文化を見直し、本質と調和を重視する価値観を再構築する。

📝心得まとめ

「身体の美しさは通り雨。執すれば、心は泥に沈む」

肉体の魅力は、否定すべきものではない。
だがそれに耽れば、老いた牛のように動けず、進めず、執着という泥に沈む。

美に気づきつつ、囚われず。魅力を超えて、自在に生きる者こそ、真の自由人である。


『ダンマパダ』第二七章「観察」のこの最終句(第十八節)は、身体への美的執着と精神的停滞の相関を見事に言い表しています。

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