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相互配賦法とは?その定義と計算方法を解説

相互配賦法は、製造原価計算において、複数の補助部門間で相互に提供したサービスの費用を適切に配分し、製造部門に最終的なコストを割り当てる方法です。この手法は、補助部門が互いにサービスを提供し合うケースで正確なコスト配分を行うために使用されます。


相互配賦法の概要

定義

相互配賦法(Reciprocal Allocation Method)は、補助部門間のサービス提供を考慮して、各補助部門のコストを他の補助部門や製造部門に割り当てる原価配分方法です。

特徴

  • 正確なコスト配分が可能:補助部門間の相互サービスを考慮。
  • 複雑な計算が必要:線形方程式や行列計算を用いる場合がある。
  • 補助部門間の関係を反映:現実的なコストの流れを反映する。

相互配賦法が必要な理由

補助部門(例:動力部門、保全部門など)は、製造部門だけでなく、他の補助部門にもサービスを提供します。そのため、相互サービスの影響を考慮しないと、正確なコスト配分ができず、製品原価が歪む可能性があります。


相互配賦法の計算方法

相互配賦法では、補助部門間の相互サービスを方程式で表し、各補助部門の最終的なコストを計算します。

手順

  1. 相互サービスの把握
  • 各補助部門が他の補助部門や製造部門に提供するサービスの割合を明確にする。
  1. 線形方程式の設定
  • 各補助部門の総コストを相互サービスの割合で表す。
  1. 方程式の解決
  • 線形方程式を解き、各補助部門の総コストを計算。
  1. 製造部門への配分
  • 補助部門の最終コストを製造部門に割り当てる。

計算例

データ

  • 補助部門AとBが存在。
  • Aの初期費用:100,000円。
  • Bの初期費用:50,000円。
  • サービス提供割合:
  • AがBに20%、製造部門に80%サービス提供。
  • BがAに10%、製造部門に90%サービス提供。

ステップ1:方程式の設定
[
\text{Aの総コスト} = 100,000 + 0.1 \times \text{Bの総コスト}
]
[
\text{Bの総コスト} = 50,000 + 0.2 \times \text{Aの総コスト}
]


ステップ2:方程式の解決

  1. Aの総コストを求めるため、Bの総コストを代入:
    [
    \text{Aの総コスト} = 100,000 + 0.1 \times (50,000 + 0.2 \times \text{Aの総コスト})
    ]
    [
    \text{Aの総コスト} = 100,000 + 5,000 + 0.02 \times \text{Aの総コスト}
    ]
    [
    0.98 \times \text{Aの総コスト} = 105,000
    ]
    [
    \text{Aの総コスト} = \frac{105,000}{0.98} = 107,143 \, \text{円}
    ]
  2. Bの総コストを計算:
    [
    \text{Bの総コスト} = 50,000 + 0.2 \times 107,143
    ]
    [
    \text{Bの総コスト} = 50,000 + 21,429 = 71,429 \, \text{円}
    ]

ステップ3:製造部門への配分

  • Aの製造部門配分:107,143 × 80% = 85,714円
  • Bの製造部門配分:71,429 × 90% = 64,286円

相互配賦法のメリットとデメリット

メリット

  1. 正確なコスト配分
  • 補助部門間の相互サービスを考慮するため、正確なコスト管理が可能。
  1. 現実的な計算
  • 補助部門の実際のサービス関係を反映。
  1. 製品原価の精度向上
  • 正確なコスト配分により、製品原価の歪みを防止。

デメリット

  1. 計算が複雑
  • 複数の補助部門が存在すると計算が煩雑になる。
  1. データ収集が困難
  • 補助部門間のサービス提供割合を正確に把握する必要がある。
  1. システム対応が必要
  • 大規模な企業では、計算を自動化するためのシステムが必要。

相互配賦法の活用場面

1. 製造業

  • 動力部門や保全部門のコストを製造部門に配分。

2. サービス業

  • IT部門や人事部門のコストを他部門に配賦。

3. 病院や教育機関

  • 間接部門(管理部門や設備部門)のコストを運営部門に割り当て。

相互配賦法と他の配賦方法の比較

項目相互配賦法直接配賦法階段式配賦法
補助部門間の相互サービス考慮する考慮しない一部考慮
計算の精度高い低い中程度
計算の複雑さ高い低い中程度

まとめ

相互配賦法は、補助部門間の相互サービスを考慮し、正確なコスト配分を行うための高度な手法です。製造業やサービス業を問わず、間接費の正確な管理が求められる場面で特に有効です。

計算の複雑さを克服するために、専用のシステムやツールを導入し、効率的な運用を目指しましょう!

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