支店が複数ある場合の本支店間取引の処理には、支店分散計算制度と本店集中計算制度の2つの方法があります。それぞれの処理について具体例を用いて説明します。
1. 支店分散計算制度
- 概要:
- 各支店において、他の支店との取引を記録するために支店勘定を設ける制度。
- 支店間の取引は直接記録され、本店を経由せずに処理されます。
具体例
条件:
- 埼玉支店が千葉支店に現金1,000円を送付し、千葉支店が受け取った場合。
仕訳(埼玉支店側):
借方: 千葉支店 1,000円
貸方: 現金 1,000円
仕訳(千葉支店側):
借方: 現金 1,000円
貸方: 埼玉支店 1,000円
2. 本店集中計算制度
- 概要:
- 各支店には本店勘定のみを設置し、支店間取引は本店との取引として処理。
- 支店間取引は本店が統括して記録します。
具体例
条件:
- 埼玉支店が千葉支店に現金1,000円を送付し、千葉支店が受け取った場合。
仕訳(埼玉支店側):
借方: 本店 1,000円
貸方: 現金 1,000円
仕訳(千葉支店側):
借方: 現金 1,000円
貸方: 本店 1,000円
仕訳(本店側):
借方: 千葉支店 1,000円
貸方: 埼玉支店 1,000円
3. 比較表
項目 | 支店分散計算制度 | 本店集中計算制度 |
---|---|---|
特徴 | 支店間取引を直接記録 | 本店を通じて記録 |
支店間取引の記録 | 各支店における相手支店勘定を利用 | 本店で支店間取引を一元管理 |
仕訳の複雑さ | 支店ごとの取引が必要なため複雑 | 本店が統括して処理するため比較的単純 |
使用場面 | 支店間取引が頻繁で、詳細な記録が必要な場合 | 支店が多数あり、効率的に記録を管理する必要がある場合 |
4. 選択のポイント
- 支店分散計算制度:
- 支店ごとの詳細な記録が必要な場合に適用。
- 支店間の取引が多い場合に適している。
- 本店集中計算制度:
- 本店で統括管理する方が効率的な場合に適用。
- 支店数が多い企業や、支店間の取引量が少ない企業に向いている。
まとめ
どちらの制度を採用するかは、企業の運営方針や支店間取引の頻度に依存します。支店間の取引記録をシンプルに管理したい場合は本店集中計算制度が一般的ですが、取引詳細を重視する場合は支店分散計算制度を採用します。
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