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なすべきを怠り、なすべからざるを為す者、ますます穢れに沈む


■ 引用原文(日本語訳)

なすべきことを、なおざりにし、なすべからざることをなす、
高ぶって放逸なる者どもには、汚れが増す。
かれらには汚れが増大する。かれらは汚れの消滅からは遠く隔っている。

――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第19節


■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)

  1. やるべきことを怠り、
     本来行うべき善き行為・務め・修行を放棄し、
  2. やってはならないことを実行する者は、
     誤りや悪行、自己中心的な行動に手を染める者は、
  3. 驕り高ぶり、放逸な生き方をしながら、
     自己満足にひたり、他者や法を軽んじ、気ままに振る舞う中で、
  4. ますますその心の汚れ(煩悩)は増していく。
     貪欲・怒り・無知といった心の毒が強まり、人格も生活も濁っていく。
  5. そのような者たちは、清らかさ(汚れの消滅)から遠く離れている。
     真の浄化、安らぎ、悟りといった解放の道からどんどん遠ざかってしまう。

■ 用語解説

用語解説
なすべきこと(カッタヴァ)慈悲・節制・正見・修行・責任など、実践すべき正しい行為。
なすべからざること(アカッタヴァ)欲望・虚偽・暴力・怠惰・不正など、慎むべき行為。
高ぶり(ウッターナ)自惚れ・傲慢・慢心。自分を過大に評価すること。
放逸(パーマーダ)注意力の欠如、努力の放棄、だらしない精神状態。
汚れの消滅(ヴィサッダ・チッタ)煩悩の除去、心の浄化。仏教で悟りに至る重要な段階。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

本来やるべきことを怠り、やってはならないことばかりを行う者は、
自惚れ、放逸な生き方をしながら、内なる汚れ(煩悩)を積み重ねていく。
その結果、心の清らかさからはどんどん遠ざかり、悟りや安らぎといった
本当の幸福の道から大きく逸れていってしまう。


■ 解釈と現代的意義

この節は、「内面の乱れと人生の堕落の因果関係」を説いています。
やるべきことを先延ばし、逆にやってはいけないことに手を出す――
それは人生を蝕む最も危険な行動様式です。
仏教は、「行動の方向性=心の清濁を決める」と教えており、
それはまさに、現代における倫理観・職業観・生活態度にもそのまま当てはまります。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
職業倫理報告・連絡・確認など、やるべき基本を怠る一方で、責任逃れや不正を行えば、信用と心の健全性は破綻する。
セルフマネジメント面倒なことを避け、楽な方ばかり選ぶと、時間も精神も濁っていき、結果的に大きな損失を招く。
傲慢と無自覚自分は例外、自分だけは許される――という慢心は、他者の信頼と評価を徐々に損なっていく。
成長の妨げ小さな怠惰や不正の積み重ねが、心の曇りとなり、学びや成長を遠ざける要因となる。

■ 心得まとめ

「すべきことをせず、すべからざるを為す者、心の闇は深くなる。」

誠実な行動こそが心を清める。
やるべきことを大切にし、してはならないことに明確な一線を引く。
その明確さと自律こそが、人格の光と人生の平安をもたらす。
人は行動によって心を作り、心によって未来を築いていくのです。


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