目次
📜引用原文(日本語訳)
六
適当な量(の食物)を享けよ。つねに清く生きる者であれ。その行ないが親切でわかち合い、なすところ巧みであれ。そうして喜びにみち、心を落ちつけて、修行僧は遍歴せよ。
― 『ダンマパダ』 第二章 第六偈
🔍逐語訳(文ごとの意訳)
- 適当な量(の食物)を享けよ:食べすぎず、欲に流されず、節度ある摂取を心がけよ。
- つねに清く生きる者であれ:身体・言葉・心を清らかに保ち、日々の生活を正しく過ごすように。
- 行ないが親切でわかち合い:優しさと思いやりをもって接し、物事や知識・心を分かち合う態度を保て。
- なすところ巧みであれ:行うべきことは丁寧に、熟練を目指して為しなさい。
- そうして喜びにみち、心を落ちつけて:満ち足りた心で、心を静かに安定させながら、
- 修行僧は遍歴せよ:遍歴(へんれき)=修行の旅を続けよ。外界にとらわれず内なる旅路を進め。
📚用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
適当な量 | 仏教では「中道」の精神に通じる。過不足なく、ちょうど良い程度。 |
清く生きる | 五戒・八正道などに基づいた倫理的・精神的な生活。 |
親切・わかち合い | 利他の精神。他者と和合し、惜しまず共有する慈悲心。 |
巧み(こうみ) | 仏道における「巧み」は、器用さというよりも「心を込めた正確さ」「真剣さ」を意味する。 |
遍歴 | 修行の象徴。固定せず、自由にして心の旅を続ける様子。出家者の理想でもある。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
食をはじめとするあらゆるものにおいて節度を保ち、常に清らかであること。
人に対して親切で分かち合い、行動は誠実かつ熟達を目指す――
そのような姿勢で日々を送り、満ち足りた心と静けさをもって、修行の道を歩み続けよ。
これが仏教の修行僧の在り方である。
🧠解釈と現代的意義
この偈は、「バランス・誠実・分かち合い・内的な喜び」というキーワードでまとめられます。
現代社会では成果や所有、スピードが重視されがちですが、この教えは節度ある消費と他者への思いやり、そして静かで満ちた心を重んじます。
外から得る刺激や承認に頼るのではなく、自らの在り方と行為の美しさの中に、喜びと静けさを見出すことが本当の豊かさだと気づかされます。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践例 |
---|---|
節度ある働き方 | ワーカホリックではなく、必要十分に働き、休息と調和を保つ。健康・持続可能性重視。 |
清らかな人間関係 | 誠実でクリーンな言動が、信頼とチームの安心感を生む。 |
分かち合いの精神 | 成果やノウハウを独占せず、惜しまずシェアする文化が、組織全体の成長を促進する。 |
匠の仕事 | スピード優先ではなく、一つひとつを丁寧に。作業の「質」が信頼を呼ぶ。 |
内的な満足 | 評価や報酬ではなく、「やりきった」「丁寧にできた」という内的充足感を軸に働く姿勢が、本質的な幸福につながる。 |
✅心得まとめ
「節度・清浄・分かち合い――静かな満足こそが最高の道しるべ」
与えられたものに感謝し、節度を保ち、分かち合い、静かに満ちた心で歩み続ける。
そのような人こそが、たとえ誰に知られなくとも、最も美しく、尊い修行者である。
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