目次
📜 原文要約(第二九章 一六〜一六E)
「つねにこの世のものを不浄であると思いなして暮らし、感官をよく慎しみ、食事の節度を知り、目ざめているときに…
- 一六:勤め励む者は、情欲にうちひしがれない。
- 一六A:心の統一している者は、憎しみにうちひしがれない。
- 一六B:…は、迷妄にうちひしがれない。
- 一六C:…は、慢心にうちひしがれない。
- 一六D:…は、貪りにうちひしがれない。
- 一六E:…は、愛執にうちひしがれない。
堅固な岩山が風にゆるがないようなものである。」
🔍 要点と解釈
修行者の特質 | 解説 |
---|---|
世のものを不浄と観る | 現世の快楽や物質を永続・美しいと錯覚せず、本質的に無常・執着の原因と見抜く智慧。 |
感官の制御 | 視覚・聴覚・触覚などの五感への執着を断ち、心が外に引きずられない状態。 |
食事の節度 | 欲に任せず、自身に必要な量を知る中庸的な態度(中道)。 |
目覚めているときに心を統一 | サマーディ(三昧)=集中・統一された精神状態。 |
これらを実践する者は、五つの根本煩悩(五蓋)にうちひしがれることがないのです。
🧠 現代的意義
第十五節で「風に倒れる弱い木」と比喩された“煩悩に流される者”とは逆に、この第十六節では、**「堅固な岩山」**という比喩で表されるような、確かな安定を持った人物像が提示されます。
これは現代においても非常に有効なメッセージです:
- 現代は情報・刺激・欲望にあふれる時代。
- 自分の感情や欲望を律し、内面に中心軸を持つ者だけが、混乱の中でも折れずに立ち続けられる。
- そのためには、自己制御と内省による統一された心の訓練が必要なのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
煩悩の克服 | 実践者の態度 | ビジネスでの意義 |
---|---|---|
情欲(16) | 自制と節度ある思考・生活 | 利益至上主義に走らず、倫理的な経営判断ができる |
憎しみ(16A) | 怒りに流されず、冷静 | 対人トラブルを穏やかに処理し、信頼を築ける |
迷妄(16B) | 本質を見る洞察力 | 問題の根を見抜き、的確に課題解決へ導ける |
慢心(16C) | 謙虚で学び続ける姿勢 | 持続的な成長とリーダーシップの向上 |
貪り(16D) | 与える精神・中道の視点 | サステナブルなビジネス・社会貢献型の経営 |
愛執(16E) | 執着せず、状況を客観視 | 変化に柔軟に対応し、正しい判断ができる |
✅ 心得まとめ
「心を律し、静かに集中する者は、どんな煩悩にも揺るがない」
この世のものを過度に美しいと錯覚せず、欲に飲み込まれず、冷静に日々を生きる。
その者は、怒りにも、欲望にも、迷いにも、決して屈しません。
堅固な岩山のように、風(煩悩)の中でも不動である。
現代人にとっても、この岩のような心の安定性こそが、混乱・不確実性の時代を生き抜くための本質的資質です。
🪷 第二九章 第十五〜十六節:完全対比構造
項目 | 第十五節(倒れる者) | 第十六節(揺るがぬ者) |
---|---|---|
世界観 | 世のものを浄らかだと思い込む | 世のものを不浄と見なす |
態度 | 感官を慎まず、節度がない | 感官を制御し、節度を知る |
状態 | 目覚めていても煩悩にひしがれる | 覚醒し、統一された心で煩悩を退ける |
結果 | 弱い木のように倒れる | 岩山のように揺るがない |
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