たった一度の軽率な思いつきや、無意識のひと言、何気ない行動が、思いがけない大きな禍を引き起こすことがある。
それは、目に見えない神仏の怒りを買い、天地の調和を乱し、時には子孫にまで災いを及ぼすことさえあるという。
だからこそ、どんなに小さなことでも、軽んじてはならない。
「このくらいは大丈夫」と思った瞬間にこそ、最も強く自らを戒めるべきだ。
現代にも通じるこの教えは、佐藤一斎が説いた「遠慮ある者は、細事を忽にせず」や、アビ・ヴァールブルクの言葉「神は細部に宿る」と響き合っている。
細心の注意は、真の誠実さと遠い未来への責任の証である。
原文(ふりがな付き)
「一念(いちねん)にして鬼神(きしん)の禁(きん)を犯(おか)し、
一言(いちげん)にして天地(てんち)の和(わ)を傷(そこ)ない、
一事(いちじ)にして子孫(しそん)の禍(わざわ)いを醸(かも)す者(もの)有(あ)り。
最(もっと)も宜(よろ)しく切(せつ)に戒(いまし)むべし」
注釈
- 一念(いちねん):ふとした出来心、つい…という軽い気持ち
- 鬼神(きしん)の禁:神仏の掟・道理を破ること。目に見えぬ天の理。
- 天地の和:自然界や人と人との調和。宇宙の秩序。
- 子孫の禍い:一時の過ちが、長く続く家系にまで悪影響を及ぼすこと。
- 切に戒む:真剣に自戒し、注意深くあれ。
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