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慈悲は光となって、無知の闇を照らす


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■引用原文(日本語訳)

「まさに彼らへの憐愍のために、私は個物の心に宿り、輝く知識の灯火により、無知から生ずる闇を滅ぼす。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第11節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • teṣām evānukampārtham
     → まさに彼らへの憐れみ(慈悲)のために
  • aham ajñāna-jaṃ tamaḥ
     → 私は無知から生じる闇を
  • nāśayāmi
     → 滅ぼす
  • ātma-bhāva-sthaḥ
     → 彼らの内面(心の中)に宿り
  • jñāna-dīpena bhāsvatā
     → 輝く知識の灯火によって

■用語解説

  • 憐愍(ānukampā):慈悲、憐れみ、思いやり。神が信愛者に向ける深い愛。
  • 個物の心(ātma-bhāva):個人の内面・魂・心の中。
  • 知識の灯火(jñāna-dīpa):悟りをもたらす智慧の光。暗闇(無明)を照らす真理の明かり。
  • 無知の闇(ajñāna-jaṃ tamaḥ):無知によって生じる混乱・迷い・執着など、精神的暗黒。

■全体の現代語訳(まとめ)

「彼ら(神を信じ、愛する者)への深い慈しみから、私は彼らの心に宿り、知識という光を灯して、無知から生まれる闇を打ち払う。」
――神は、愛をもって心を捧げた者に対し、内から導きを与えると明言している。


■解釈と現代的意義

この節は、「神は外ではなく、信愛者の心の中に宿る」という霊的原則を示しています。
その神(あるいは内なる真理)は、慈悲によって知の光を与え、混乱や無知、迷いといった“内的な闇”を静かに取り除いてくれる――
つまり、真の智慧とは外から与えられるものではなく、「内から啓かれるもの」であり、そこに至るには誠実な愛と集中が不可欠であるという教えです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
内省と自己成長本当の答えや解決は外にあるのではなく、自らの内に宿る“良心と智慧”によって導かれる。
リーダーシップ部下が迷ったとき、外から命じるよりも、内なる理解を促す“気づきの光”を与える姿勢が重要。
教育とマネジメント本物の指導者は「知識を押しつける」のではなく、「自ら考える力=内なる光」を灯す手助けをする。
人材育成優秀な人を育てるとは、「彼らの中に眠る灯火を点火すること」である。信頼と愛情が前提となる。

■心得まとめ

「真の知は、心の中で光る」

本当の智慧とは、教え込まれるものではない。
神(または真理)は、愛をもって心を向ける者に対し、その内に宿り、必要な時に“知の光”を灯してくれる。
だからこそ、他者に教えるときも、自分を導くときも、まずは「慈しみと集中」があってこそ。
光は外からではなく、「心の中から照らされる」のである。

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