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人を育てるのは、身近な者の徳

――師傅いかんが、君主の器を決める

太宗は、皇太子や親王の将来を案じ、補佐役=師傅の選定がいかに国家の安定に直結するかを強調した。

高潔な人物は自然と悪に染まらないが、中庸の知恵しか持たぬ者は、近くにいる人の影響を強く受けてしまう。
成王が賢人に囲まれて立派な聖君となった一方で、胡亥は趙高の影響で残虐な君主となり、秦は滅びた。

だからこそ、太宗は家臣たちに命じた――
「太子や親王に付ける師傅には、正直で忠義ある者を選べ。それぞれ数人ずつ推薦せよ」と。

これは、君主教育の核心である「人格は側近の質によって決まる」という思想の、極めて実践的な表れである。


引用とふりがな(代表)

「人の善悪は、近習(きんじゅう)によって決まる」
――そばにいる者の徳が、その人をつくる

「正直忠信(せいちょくちゅうしん)の者を訪(と)いて、各(おのおの)三・二人を挙(あ)ぐべし」
――義ある人物を見出し、推薦せよ


注釈(簡略)

  • 上智(じょうち)・中智(ちゅうち):最も優れた知恵を持つ者と、平均的な知識しかない者の分類。中智は外的影響に左右されやすい。
  • 胡亥(こがい):秦の二世皇帝。趙高の操り人形となり、暴政により短命に終わった。
  • 趙高(ちょうこう):宦官出身の悪臣。胡亥の補佐を名目に権力を専横した。
  • 式瞻礼度(しきせんれいど):礼儀や節度を尊び、それに従う態度。

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