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部門収益性の測定法とその改善

多くの企業では、部門ごとの収益性を正しく測定できていないのが現状です。その背景には、共通費の割り振り方に起因する問題が存在します。

この課題を解決するために、適切な方法論を導入し、収益性を正確に評価することが重要です。

目次

共通費の割り振りがもたらす課題

共通費は企業経営において必然的に発生するものであり、その割り振り方が部門収益性の評価に大きく影響を及ぼします。

問題の多くは、無理にすべての費用を部門に割り振ろうとする「割掛病」と呼ばれる状況に起因します。

例えば、統制不能な本社費のような費用は、部門の活動とは直接的な関係がなく、それを無理に部門に割り当てることで、実態を歪めた収益性の評価が行われることになります。

これにより、部門ごとのパフォーマンスが正確に把握できないだけでなく、部門責任者が不満を抱き、建設的な議論が進まない原因ともなります。

解決策1:全社一本化のアプローチ

一つの解決策として、共通費を全社レベルで一本化し、部門ごとの収益性を個別に評価する方法が挙げられます。

この手法は、特に企業規模が小さい場合や営業形態が大きく異なる場合に効果的です。

ある貸衣装業者では、貸衣装事業と呉服販売事業の2つの事業を展開していました。貸衣装事業の売上は付加価値に直結する一方、呉服販売事業の粗利益率は20%台に留まりました。

同じスタッフが両事業を兼務していたため、収益性を正しく評価するには、両事業を分離して収益を算出する必要がありました。

また、特殊金属素材の販売とその加工事業を展開する企業では、素材の粗利益率が5%未満であるのに対し、加工事業は売上がそのまま付加価値に直結していました。

このようなケースでは、部門ごとの売上規模に引きずられた誤った判断を避けるためにも、分離した収益計算が求められます。

解決策2:固有固定費の明確化

第二の方法として、部門固有の固定費と共通費を明確に分離して計算するアプローチがあります。

この手法では、部門に特有の固定費のみを計上し、共通費は全社単位で管理します。

注意すべきは、固有固定費の算定において曖昧な費用を含めないことです。「疑わしいものは計上しない」という原則を徹底することで、部門ごとの正確な収益性を評価する基盤が構築されます。

解決策3:収益源の分離

収益性を正確に測定するためには、収益源を明確に分離することが不可欠です。

部門活動に直接関係のない統制不能費用を割り振らず、各部門の固有の費用だけを算出することで、部門別計算の目的である正確な状況把握が可能となります。

部門収益性の測定における基本原則

部門別計算の目的は、各部門の収益性を正確に把握し、意思決定の材料とすることです。そのためには以下の原則を守る必要があります:

  1. 統制不能費用の除外
    本社費のような統制不能な費用は無理に部門へ割り振らない。
  2. シンプルで明確な計算方法
    割り振り基準を単純化し、不毛な議論を回避する。
  3. 固有費用の明確化
    各部門の活動に特化した費用だけを固有固定費として計上する。

収益性測定がもたらす経営改善効果

適切な測定法を採用することで、部門ごとの収益性が正確に把握できるようになります。この情報を基に、経営資源を効率的に配分し、収益性の低い事業を見直すことが可能です。

また、部門責任者にとっても、評価基準が明確化されることで、不公平感が解消され、建設的な議論が進む環境が整います。

正確な収益性測定は、企業全体の効率性を向上させるだけでなく、長期的な成長の基盤を築く鍵となります。

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