材料費は、消費単価と消費数量を掛け合わせて計算します。その際、どの単価を使用するかや、どの方法で消費数量を算出するかが重要です。
目次
1. 材料費の計算式
2. 消費単価の決定方法
消費単価の決定には、以下の方法があります。
(1) 先入先出法
概要
先に購入した材料から先に払い出すと仮定して単価を決定する方法。
例題:
次のデータを用いて計算します。
- 月初在庫: 20個 @100円当月購入: 40個 @130円当月消費量: 50個
- 先に月初在庫(20個 @100円)を消費。残りの30個は当月購入分(40個 @130円)から消費。
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(2) 総平均法
- 概要: 一定期間内の購入単価の平均値を使用して計算する方法。
- 平均単価の計算式: 平均単価 = (月初在庫の金額 + 当月購入金額)÷(月初在庫数量 + 当月購入数量)
- 例題:
- 月初在庫: 20個 @100円
- 当月購入: 40個 @130円
- 当月消費量: 50個
- 平均単価を計算: 平均単価 = [(20 × 100) + (40 × 130)] ÷ (20 + 40) = (2,000 + 5,200) ÷ 60 = 120円
- 材料費を計算: 材料費 = 50 × 120 = 6,000円
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3. 消費数量の計算方法
消費数量の計算方法には、以下の2つがあります。
(1) 継続記録法
- 概要: 材料の購入や消費ごとに帳簿へ記録し、帳簿の払い出し数量を消費数量とする方法。
- メリット: 常に在庫数を把握でき、棚卸減耗を把握可能。
- デメリット: 記録作業に手間がかかる。
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(2) 棚卸計算法
- 概要: 購入数量と月末の実地棚卸数量の差から消費数量を算出する方法。
- 計算式: 消費数量 = 月初数量 + 当月購入数量 − 月末実地棚卸数量
- メリット: 消費時の記録が不要で手間が省ける。
- デメリット: 月末まで消費数量が分からず、棚卸減耗を把握できない。
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4. まとめ
項目 | 先入先出法 | 総平均法 |
---|---|---|
特徴 | 先に購入したものから払い出す仮定 | 平均単価を計算して使用 |
計算の複雑さ | 払い出し順序を考慮するため若干複雑 | 平均単価を一度計算すれば簡単 |
メリット | 実際の在庫管理に近い形で計算可能 | 一定期間内の単価変動を平準化できる |
使用場面 | 単価変動が大きい場合に有効 | 単価変動を平均化したい場合に有効 |
消費数量の計算方法と合わせて適切な手法を選択することで、正確な材料費計算が可能になります。
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