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市場実態調査報告

M社が直面した課題とその変革の流れは、社長自身が直接小売店を訪問し、お客様の実際の声を吸収したことから始まるものでした。社長の訪問で得た知見が、M社を職人経営からお客様第一の販売指向へと変革させ、最終的に業績改善をもたらしました。以下に、M社の成功要因を要約します。

主要成功要因

  1. 顧客ニーズの理解
  • 社長が得た現場の情報によって、お客様の第一の関心は「色」であると理解しました。この顧客志向を反映させ、色数のバリエーションを増やし、商品をより魅力的にする方針を策定しました。
  1. 流通業者の視点を重視
  • 超安値戦略は流通マージンの観点で適さないと判明し、希望価格を高めに設定しつつ卸価格を調整することで、流通業者が利益を確保できる価格戦略を取り入れました。
  1. 店舗フォローの強化
  • 元社員を活用して店舗フォロー専任者を確保し、売り場でのディスプレイや補充を担当させることで、フォローした店舗での売上が向上しました。
  1. 販売方針の見直し
  • 大型スーパー中心の方針から、中規模店舗や専門店、単店スーパーへの販売拡大にシフトし、パンティーストッキングが重要視される売り場を確保しました。
  1. 柔軟なマーケティング施策
  • 見本ディスプレイの設置やパッケージの改良といった施策を実施し、顧客の購買体験を向上させる工夫を行いました。

最終的な経営の変革と方針

M社は、経営方針を「顧客第一、収益中心、安定成長」に基づいて再構築し、「一流・創造・奉仕」の理念のもと、ブランド力の確立や商品品質の向上、効率的な販売体制の構築を進めました。

M社のケースは、経営者が自ら市場や顧客に直接触れることが、企業を根本から成長させる力になることを示しています。また、顧客と市場を理解した上での方針転換がいかに重要かを体現している事例です。

かつては、販売の「ハ」の字も知らなかった会社が、このように大変身してしまったのである。その原因のすべては、社長のお客様廻りにより、お客様に教えていただいたことと、社長の観察にあるのだ。

増販と増産のシーソーゲームは増販に軍配が上り、生産能力がどうしても追いつかなくなり、社長はやむを得ず社内に留まって生産体勢の整備を行なった。

この間半年間であったが、売上げは横這いになってしまった。社長の小売店訪間が如何に大きな効果を発揮したかがハッキリしたのである。

社長の小売店訪問再開で、売上げは上昇に転じた。社員まかせの販売ではダメだということを痛感させられたのである。

M社長は、その職にある限り、お客様訪間を続けることを決意した。自らに課した目標は「年間二〇〇〇店舗」だったのである。

私は社長に申し上げた。「社長自ら小売店を廻ったからこそ、重大事態をいち早く発見できたわけですね。事業経営の最良のコンサルタントはお客様であるということを肝に銘じて下さい」と。私の言は、社長にとっては、蛇足なのであった。

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