経営計画書は、会社の未来を描き、社員全員が目標に向かって行動するための指針となる重要なツールです。しかし、その作成には明確な役割分担が必要です。
社長は企業の戦略やビジョンを描き、社員は具体的な行動計画を立案します。これにより、会社全体の方向性と実行計画が一貫性を持って結びつきます。
本稿では、経営計画書の構成と、社長と社員が果たすべき役割について解説します。
経営計画書は「誰が」「何を書くか」を明確に
経営計画書は毎年更新されるべきものであり、その作成において役割分担を明確にすることが重要です。
経営計画書は、「基本方針」と「個別方針」の2つの大きな柱で構成されています。
基本方針には中期事業計画や長期事業構想が含まれ、これらは社長が作成します。

一方、個別方針については、全社員がそれぞれの立場で書き上げることが求められています。この分担により、会社全体の方向性と具体的なアクションプランが統合されます。
商品・サービスを生み出すのは社長の仕事
会社の経営は、社長が「どのような会社を目指すのか」を描くことから始まります。
このビジョンには、どのような商品やサービスを伸ばし、どのように収益を生み出すかという戦略が含まれます。商品力やサービス力こそが会社の数字を大きく左右するため、これを生み出すのは社長自身であるべきです。
さらに、月別利益計画や商品別販売計画を作成するのも社長の役割です。


社員が売りやすい商品ばかりに注力してしまうと、粗利益率の低い商品が大量に売られる結果となり、会社全体の利益を圧迫する可能性があります。
そのため、社長が重点商品や高粗利益率の商品を指示し、全体の販売計画を策定することが不可欠です。
商品・サービスに関する方針は社長が策定
経営計画書の構成図において、「戦略」とされる部分は、事業の未来像や商品・サービスに関する方針を含みます。
戦略は会社の方向性を決めるものであり、その核となる商品やサービスをどう展開するかを考えるのは社長の仕事です。
社長が5年後、10年後の柱となる商品やサービスを創り出し、それに基づいた方針を計画書に明記する必要があります。
短期利益計画の中でも、商品別販売計画は特に重要であり、これも社長が作成すべき部分です。目標経常利益から逆算し、粗利益額や売上高を計算して方針を具体化します。
戦術は全社員で実現する
「販売なくして事業なし」と言われるように、販売活動はすべての会社に共通する基本的な活動です。販売に関する計画は、全社員が一丸となって取り組むべきものであり、得意先別販売計画は社員全員で作成します。

構成図において「販売に関する方針」は、得意先別販売計画と相互に関わりを持つよう設計されています。これは、営業や顧客対応に関する方針がすべての事業において重要であることを示しています。
年末に向けた経営計画書の作成
9月が決算月であるため、毎年10月には翌年度の経営計画書作成に取り組んでいます。
このように計画書を年次で見直し、更新していくことで、会社のビジョンを常に明確にし、具体的な行動計画に落とし込むことができます。
経営計画書は、社長が描く未来のビジョンと社員が実行する個別方針が一体となることで、その効果を最大化します。全員が役割を理解し、協力して計画を実現することで、企業は持続的な成長を遂げることができるのです。
まとめ
経営計画書は、社長が描くビジョンや戦略と、社員が立案する実行計画を融合させることで、会社全体の成長を支える基盤となります。
社長は未来の方向性を明確にし、商品やサービスの方針を定める一方で、社員はその方針に基づいた具体的な行動計画を作成します。
この役割分担が明確になることで、会社全体が一丸となり、戦略的かつ実践的な経営が可能になります。経営計画書を活用して、持続可能な成長を実現していきましょう。
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