経営計画を立てる際、最初に売上目標を設定しがちですが、それは間違いです。本当に効率的な経営計画は、逆算方式で組み立てるべきです。
このアプローチでは、最終的に得たい「経常利益」を基準に据え、そこから売上までの詳細を順番に逆算していきます。以下、その具体的なステップを解説します。
1. 経常利益を決定する
まずは目標とする経常利益を設定します。この金額は、自社が「最終的に確保したい利益」を具体的に示します。希望額をざっくり設定する段階ですが、経営の目標達成に向けた第一歩となる重要な部分です。
2. 営業外費用を算出する
次に、借入金にかかる金利を基に営業外費用を計算します。
計算式
借入金 × 金利 = 営業外費用
この数字は、会社が運営する上で避けられないコストです。
3. 営業外収益を計算する
営業外収益は、定期預金の利息や不動産の家賃収入など、事業活動以外から得られる収入を指します。
計算式
定期預金 × 金利 + その他収益 = 営業外収益
この数値も、経常利益に影響を与える要素として重要です。
4. 営業利益を逆算する
経常利益に基づき、営業利益を算出します。
計算式
経常利益 + 営業外費用 - 営業外収益 = 営業利益
営業利益は「事業活動そのものから得られる利益」であり、実質的な事業の収益性を表します。
5. 減価償却費を計算する
減価償却費は、有形固定資産の価値を使用期間にわたって配分したものです。業種によって異なりますが、目安として15%程度を用いるケースが多いです。
計算式
有形固定資産 × 15% = 減価償却費
6. 販売促進費を計算する
経費を「攻めの経費」と「守りの経費」に分け、優先順位を明確にします。「攻めの経費」とは新規事業や販促活動のための投資、「守りの経費」は既存事業を維持するための必要経費です。
7. 経費全体を計算する
粗利益額から各項目を差し引いて、利用可能な経費を算出します。
計算
粗利益額 - 人件費 - 販売促進費 - 減価償却費 - 営業利益 = 経費
この数値は、広告宣伝費などの配分を考える基準となります。
8. 人件費を逆算する
人件費は、従業員数と平均給与から求めます。
計算式
平均給与 × 従業員数 = 人件費
人件費は、ほとんどの企業にとって最も大きな経費項目です。
9. 粗利益額を算出する
会社が維持するために必要な最低限の粗利益額を明確にします。売上がいくら高くても、粗利益が固定費を下回れば赤字になるため、ここが重要なポイントです。
10. 仕入を逆算する
売上と粗利益額から仕入(原価)を計算します。
計算式
売上 - 粗利益額 = 仕入(原価)
11. 売上を算出する
逆算の最終段階として、売上を求めます。
計算式
粗利益額 ÷ 粗利益率 × 100 = 売上
売上は逆算によって最終的に導き出されるものであり、「マーケットにおける自社の地位」を示す指標でもあります。
まとめ
逆算方式を採用することで、無駄なコストを抑えながら効率的に経営計画を作成できます。重要なのは、「売上」を目標にするのではなく、「経常利益」から計画をスタートすることです。
この方法を使えば、数字が自然と連動して計画全体が整います。ぜひ、自社の経営計画にこのアプローチを取り入れてみてください。
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