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他部門を管理する部門を設けてはならない

他部門を管理する部門を設けてはならない

企業経営において、部門間の明確な役割分担と責任の所在は、組織を健全に運営するための基本です。しかし、この基本を踏み外し、「他部門を管理する部門」を設けた場合、組織は混乱に陥りやすくなります。


集中管理方式の問題点

ある企業(Z社)を訪問した際、社長から組織図を見せられ、「この組織体制に問題はないか?」と質問されました。その組織図に記されていたのは、かつての「集中管理方式」を彷彿とさせる構造でした。この方式では、すべての部門の活動を一つの管理部門が統括しようとします。しかし、このアプローチは、多くの実務的な問題を引き起こします。

まず、「集中管理方式」を実現するためには、大量の人員を管理部門に配置し、各分野を分担して管理させる必要があります。しかし、現場にはすでに実務を統括する管理職が存在しているため、管理部門と現場管理職の間で責任の所在が曖昧になります。

管理部門が現場の活動に口を出しても、現場の管理職がその指示に従うとは限りません。その結果、両者間でトラブルが発生し、それがエスカレートして組織全体に悪影響を及ぼします。責任が重複しているため、どちらかが引き下がるわけにもいかず、組織の機能不全が深刻化するのです。


部門責任者に求められる独立性

集中管理方式の根本的な問題は、「他部門を管理する部門を新たに設けた」点にあります。本来、部門管理者は自分の部門の運営全般に責任を持つ存在です。そこに別の管理部門が介入すると、責任の所在が不明確になり、組織の効率が低下します。

他部門を管理するという行為そのものが間違いです。もし部門に対して指摘や改善要求を行う必要がある場合、それはその部門の直接の上司――たとえば、社長や事業部長――が行うべきです。他の部門が指示を出す構造を作れば、責任の分散が起こり、無用なトラブルの温床となるだけです。


管理体制の迷走が引き起こす弊害

Z社の事例だけでなく、多くの企業で見られる共通の問題として、「本来の責任者ではない人間が口を出す」ことが挙げられます。たとえば、不良品が多いことを理由に検査課長が叱責されるべき場面で、なぜか経理課長や別部門の担当者にまで責任が及ぶ。このような事態は、責任の所在を曖昧にするだけでなく、組織全体の雰囲気を悪化させます。

さらに、社長が他部門の人間を通じて指示を伝えると、社内に不要な混乱を生む結果になります。他部門の人間が「社長からの指示」としてあれこれ口を出すことで、部門間の信頼関係が損なわれ、社内の調和が崩れるのです。


社長が注力すべきこと

社長の役割は、現場の細かな指示に口を挟むことではありません。社長が行うべきは、企業の経営方針を明確にし、全体の方向性を示すことです。具体的には、以下のような手法を採用すれば、組織運営はスムーズに進みます。

  1. 経営計画書の作成
    「我が社で実現したいこと」を明確に文書化し、管理職に共有します。この計画書が、全体の指針となります。
  2. 責任の委譲
    部門ごとに目標を設定し、その達成に必要な責任を部門管理者に委ねます。
  3. 定期的な進捗チェック
    月に一度など、定期的に進捗状況を確認することで、大局的な視点から全体のバランスを調整します。
  4. プロジェクト計画書の活用
    特定の課題やプロジェクトがある場合、部門管理者に計画書の作成と提出を求め、目標を明確化します。

このような手法を導入すれば、社長が現場の細部に干渉する必要がなくなり、経営全体の視野を広げることに集中できます。結果として、社長自身が「日常業務の管理から失業」するような状態を実現できるのです。


部門管理を部門責任者に任せるべき理由

組織を効率よく運営するためには、「責任と権限を一致させる」ことが重要です。他部門を管理する部門を設けるのではなく、それぞれの部門が独立して責任を負い、社長がその全体を統括する体制を整えるべきです。

この原則を守ることで、組織全体がスムーズに機能し、無用なトラブルや混乱を避けることができます。社長は組織の「大黒柱」として全体の方針を定め、管理職はそれを実行する「現場のリーダー」としての役割を果たす――このシンプルな仕組みこそ、企業を成功へと導く鍵なのです。


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