売上高の不足を補うには、お客様ごとに具体的な対策を講じることが重要です。以下に4つの方法を挙げ、それぞれのポイントを解説します。
方法1: 現有顧客の再分析と拡販の実施
まず、既存顧客を対象に、未購入の商品や拡販の可能性がある商材を洗い出します。例えば、過去の取引実績から、取引はあるものの特定の商品を購入していない顧客に注目し、以下の施策を実施します。
- 未購入商品の提案・売り込み
顧客リストをもとに、未購入商品を重点的に提案します。キャンペーンやイベントを通じて魅力を伝え、購買を促進します。 - 既存商品の追加販売
既に購入している商品についても、数量を増やす提案を行います。たとえば、既存の販売実績(例:カ社のC商品200個)を分析し、増加分(220個)を目指します。
このような再分析を行い、具体的な拡販計画を立案してください。
方法2: 粗利益率を高める施策の検討
お客様ごとの取引条件を見直し、粗利益率の向上を図ります。主な施策として以下を検討します。
- 値上げ交渉
顧客に価格改定の提案を行い、利益率を向上させます。 - 仕入価格や加工賃の削減
仕入先や外注先に対して、コスト削減交渉を行います。 - 戦略的な価格設定
場合によっては粗利益率を一時的に下げ、販売価格を引き下げることで販売量を増やす施策も選択肢に含めます。
これらの方法により、顧客ごとに利益率を調整し、全体の粗利益額を引き上げます。
方法3: 新商品の投入と拡販
新商品を導入することで、既存顧客に新たな価値を提供します。この際、以下のポイントを押さえます。
- 市場調査と顧客ニーズの把握
現在の顧客層におけるニーズを分析し、それに応じた新商品を仕入れるか、自社生産します。 - 既存顧客への提案
新商品を既存顧客に重点的に提案し、新しい販売ルートを確立します。
方法4: 新規顧客の開拓
新規顧客の開拓は、事業成長に不可欠な要素です。以下の取り組みを通じて、新たな顧客層を獲得します。
- 目標設定と定期チェック
新規顧客開拓の目標を設定し、定期的に進捗を確認します。たとえば、「年間10~15%の顧客増加」を目指し、毎月の進捗を確認する仕組みを設けます。 - 既存顧客減少を補う努力
既存顧客は一定の割合で減少するため、それを上回る新規顧客を獲得し、安定した成長を維持します。
実践例: A社の取り組み
A社では以下の方針で販売計画を実施しました。
- 最重点顧客への対応強化
ア・イ・ウ社を最重点顧客に、ワ社を重点顧客に設定。訪問回数を倍増し、定期的な訪問や贈り物などを通じて関係を強化。 - 安定顧客の拡販活動
カ・キ・ク・コ社を安定顧客として、随時訪問や未購入商品の提案を実施。 - 取引が途絶えた顧客への再アプローチ
取引が減少していたエ・オ社には、社長自ら訪問し、再取引を依頼。一方で、再取引が困難なケ社については断念。 - 新規顧客の開拓
不足する売上は新規顧客開拓で補い、定期的に進捗を確認。
新規顧客開拓の仕組み作り
古田土会計では、新規顧客の獲得を社員全体の目標として設定。毎週の定例会議で新規顧客の進捗状況を発表し、全社員が「経営計画書」に記録する仕組みを導入しています。このような取り組みにより、年間150~200件の新規顧客を確保しています。
まとめ
売上高不足を補うためには、既存顧客の再分析と拡販、新商品の投入、新規顧客開拓など、具体的かつ多角的なアプローチが必要です。定期的に進捗を確認し、全社で取り組む仕組みを構築することで、目標達成に近づけるでしょう。
■4つの方法を検討してみる
不足をどう補うかの方法をお客様別で考えてみましょう。
方法①:もう1度、お客様ごとに数字を洗いなおし、売上を増加する方策を検討する
(現在のお客様のなかで、当社商品のなかのZ商品を、お買い上げいただいていないところに、売り込みに行く、またはキャンペーン、イベントなどの販売促進を推進する)
次ページは前年度、A社お客様の商品採用実績表の一部です。
★は、A社と取引があっても、お買い上げいただいていない商品です。
まず、ここに売り込みに行き、次に、従来の実績商品の拡販(例:カ社へC商品の200を220にする)を検討します。
皆さんの会社でも当年度用を作成してみてください。
方法②:お客様ごとに粗利益率を高めることはできないかを検討する
お客様に値上げの申請、仕入先に仕入価格・外注先に加工賃の値下げを依頼します。また、粗利益率を下げて、売価を安くして拡販できるかを考えます。
方法③:新商品を仕入れて売るか、自社生産して売ることができるかを検討する
可能な場合は、現在のお客様のどこに拡販するかを考えます。
方法④:新規お客様開拓を推進する
新規お客様開拓は、経営者の仕事と考えてください。新規開拓は目標を掲げ、毎月チェックしてください。既存客は一定の比率で必ず減少します。
毎年5%ぐらい減る会社は、10〜15%ぐらい増客しない限り、成長どころか安定もしません。新規開拓できない会社は間違いなく衰退します。
A社での検討の結果、以下のような方針に決定しました。
A社では、ア・イ・ウ社を最重点お客様、ワ社を重点お客様として、定期訪問をし、慶弔参加、贈物を年4回などの方針を決めました(拡販対象)。
ライバル会社の売り込みが激しいので当期は訪問回数を倍にすることとしました。
カ・キ・ク・コ社は安定お客様として、随時訪問、贈物年2回、未採用商品拡販の方針とし、それ以外は成り行きお客様として、お客様別販売計画を決定しました。
また取引切れのエ・オ社は再お取引を、社長がお願いに伺うこととしました。ケ社に関しては、再お取引が難しい状況なので、断念しました。
また不足する売上は新規開拓で賄うこととし、次ページのように、お客様販売計画が決定しました。
古田土会計では年間150~200件のお客様が紹介や口コミで増え続けています。毎週月曜日午前8時に正社員のみ会議室に集まり、新規開拓した者が発表します。
それを全社員が「経営計画書(諸表編)」に記入するとともに大きな模造紙に書き、計画に対する実績を確認しています。毎週発表することによって、新規開拓の大事さを認識させています。
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