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愛も憎しみも、心を縛る鎖である


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📖 引用原文

それ故に、愛するものをつくってはならぬ。愛するものであるということはわざわいである。愛するものも憎むものも存在しない人々には、わずらいの絆は存在しない。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第八句


🧩 逐語訳

  • それ故に、愛するものをつくってはならぬ。
     心の安寧を求めるならば、強い執着の対象を持ってはならない。
  • 愛するものであるということはわざわいである。
     愛する存在を持つことは、やがては苦や悩みの原因となる。
  • 愛するものも憎むものも存在しない人々には、
     好き嫌いという感情を超越した人にとっては、
  • わずらいの絆は存在しない。
     苦悩や煩悩の因となる「縛り」は何ひとつない。

🔍 用語解説

用語解説
愛するもの執着し、所有し、失いたくないと願う対象。人・物・感情・地位など。
憎むもの嫌悪し、避けたいと感じる対象。対立や拒否の感情を伴うもの。
わずらいの絆苦しみを生む原因となる心のつながり。執着・怒り・嫉妬・執念など。
存在しない人々煩悩を離れ、心の自由を得た覚者・賢者たち。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

だからこそ、心からの平安を求めるならば、
「これが欲しい」「この人が好き」という強い愛着の対象をつくらないことが大切である。
なぜなら、「愛する」という感情の裏には、
失う不安・裏切りの恐れ・執着心がつきまとうからだ。
愛も憎しみも超えた人――そのような人には、
もはや心を縛る煩悩の鎖は存在しない。


🧠 解釈と現代的意義

この句は、「無執着の境地」がいかに自由で、苦しみから離れているかを教えてくれます。
「愛すること=善」、「憎むこと=悪」という単純な対立ではなく、
「好き嫌い」という対立構造そのものが、心の煩悩の根源であることを明らかにしています。

現代においても、極端な好悪や依存的な関係性は、人間関係の悩み・職場の軋轢・家庭内ストレスの原因となります。
それらから自由になるには、「愛することさえも超える愛」――慈悲と非執着の境地が必要なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
評価への依存他人からの賞賛や愛情への執着があると、それを失うことへの恐れで行動が制限される。
パートナーシップ取引先や部下に対する過度な好悪は、適切な判断力を鈍らせる原因になる。
公平な意思決定「誰が好きか/嫌いか」にとらわれない意思決定が、リーダーには不可欠。
チーム文化愛着や敵意を超えて、「役割を果たす」「共に働く」ことに集中できる組織は、健全な成長を遂げやすい。

🧭 心得まとめ

「心を縛るのは、愛でもなく、憎しみでもなく、それにとらわれる心である」

好きなものがあれば、それを失うことに怯える。
嫌いなものがあれば、それに出会うたびに心が騒ぐ。
どちらも、「外の対象」によって心が振り回されている状態です。
自由とは、愛するものも憎むものも、必要としない心のこと。
そしてそれこそが、仏教の説く「煩悩からの解放」であり、
ビジネスでも人生でも、真にブレない人間の姿なのです。

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