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虚名に滅ぶ──実りの先にあるもの


目次

■原文

第一三章 尊敬一
芭蕉は実が生ると滅びてしまう。
竹や蘆は実が生ると滅びてしまう。
牝の驢馬は自分の胎児のために滅びてしまう。
そのように、悪人は尊敬を受けると滅びてしまう。


■逐語訳

  • 芭蕉(ばしょう):バナナのような植物。実が成ると母株は枯れる。
  • 竹や蘆(あし):竹や葦も実を結ぶと寿命を終える。
  • 牝(めす)の驢馬:雌のロバは、出産の負荷で命を落とすことがある。
  • 悪人:道義に反して生きる人。
  • 尊敬を受けると滅びる:不徳の人間が名誉を受けると、その名声に耐えきれず、かえって破滅する。

■用語解説

  • 尊敬(そんけい):社会的評価や称賛、名誉。個人の内実とは関係なく与えられることもある。
  • 滅びる:内的未熟さが名声と釣り合わず、自壊や破滅に至ることの象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

バナナの木(芭蕉)や竹、葦、雌の驢馬などは、実を結ぶことが生命の終焉を意味する。
それと同じように、徳も備えず、内面の準備ができていない者が名声や尊敬を受けると、その重みによって自らを崩してしまう。


■解釈と現代的意義

この章句は、「名声」や「外からの称賛」が、必ずしも人を高めるとは限らないという逆説を説いています。
特に未熟な人間にとって、評価や称賛は内面の成長が伴っていなければ、むしろ破滅を早める毒ともなり得る。
名誉の実がなる前に、根(内面)を深く張っておくことの大切さを説いています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
若手リーダーの育成名ばかりの昇進や称賛が、その人の成長を妨げ、かえって失敗に導くこともある。評価より「準備」が先。
経営者・起業家の心得社会的に注目される立場であるほど、内面の節度と謙虚さがなければ、成功は一過性で終わる。
ブランディングと実力ブランドや評判が先行し、実力が伴わないと、信頼の喪失・市場の離反が起こりうる。
社内評価制度「結果」よりも「成長過程」や「姿勢」に評価軸を置くことで、無理な昇進による早期離脱を防げる。

■心得まとめ

「称賛は毒にもなる。実を結ぶ前に、根を深く張れ」

未熟な者にとって、尊敬や評価はむしろ重荷となる。
人は外からの光を受ける前に、内なる土壌を耕さなければならない。
ビジネスにおいても、功績の前に「人格」、成果の前に「姿勢」が求められる。
「実るほど頭を垂れる稲穂」の姿勢こそが、長く信頼される人材・組織をつくる礎となるのです。


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