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作者を見抜いたとき、迷いの家は崩れ落ちる


目次

📜引用原文(日本語訳)

家屋の作者よ!
汝の正体は見られてしまった。
汝はもはや家屋を作ることはないであろう。
汝の梁はすべて折れ、家の屋根は壊れてしまった。
心は形成作用を離れて、妄執を滅ぼし尽くした。
(ダンマパダ 第十二章「自己」第154節)


🔍逐語訳

  • 家屋の作者よ!
     → 「我」という執着や無明、煩悩に語りかける呼びかけ。
  • 汝の正体は見られてしまった。
     → その正体(=迷いの根源、我執)が明らかになった。
  • 汝はもはや家屋を作ることはないであろう。
     → 輪廻を生み出す原因は、もはや再び働くことはない。
  • 汝の梁はすべて折れ、家の屋根は壊れてしまった。
     → 構造の中枢=煩悩や執着の支えが壊れ、輪廻の「家」が崩壊した。
  • 心は形成作用を離れて、妄執を滅ぼし尽くした。
     → 心はもはや業(カルマ)の形成を生まず、無明や執着(upādāna)は完全に滅された。

🧾用語解説

  • 家屋の作者:我執・無明・欲望といった、輪廻の根源。
  • 梁・屋根:家=輪廻を支える構造の象徴。煩悩・慢心・無知など。
  • 形成作用(サンカーラ):心の働きにより業が作られること。苦の根本的原因。
  • 妄執(upādāna):とらわれ。欲望・執着・我へのこだわり。

💬全体の現代語訳(まとめ)

「家屋の作者」よ――おまえの正体は、ついに見破られた。
おまえはもう、二度とこの迷いの家を作ることはない。

私の心は、煩悩という梁も、慢心という屋根も、すべて破壊した。
いまや心は形成作用を離れ、何ものにもとらわれることなく自由になった。

仏陀はこの詩で、悟り(ニッバーナ)に到達した瞬間を明確に宣言している。


🧠解釈と現代的意義

この詩句は、ブッダが「悟り」に達したことを象徴的かつ詩的に語った宣言です。
それまで幾千もの生を繰り返してきた迷いの源――「家屋の作者」=我執・欲望・無明――の正体を暴き、破壊したと述べています。

つまりこれは、単に宗教的な「悟り」を意味するのではなく、
**「自分を縛っていた無意識の枠組みに気づき、それを壊す」**という、あらゆる人間の解放のメタファーです。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
制約からの自由「こうあるべき」「これが自分だ」という固定観念を打ち破ることで、真の創造性と自由が得られる。
自我の克服成果や役職への執着が「家屋」を築く。だがそれを手放すことで、本来の志に立ち返ることができる。
慣習・慣例の打破古い構造(梁や屋根)に支えられた業務体制を壊し、根本から再設計するイノベーションへの道。
マインドセットの刷新内面的な「妄執」や執着がある限り、判断は濁る。徹底的な内省によって、リーダーとしての質が変わる。

📝心得まとめ

「迷いの構造を見抜け。そこに自由がある」

我執という家を建ててきた「作者」の正体を見抜いたとき、
人はもう、同じ迷いを繰り返さない。

それは、思い込み・執着・不安・恐れという内的構造を解体し、
まっさらな心でこの世界を生き直すこと
を意味する。

ビジネスでも人生でも、何かを始める前にまず問うべきは、
**「自分の家屋は、何によって建てられているのか?」**ということである。

そこに気づいたとき、すでに半分は自由になっている。

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