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簿記の勘定科目:「固定資産除却損」の基礎知識

「固定資産除却損」とは、企業が所有する固定資産を使用不能または不要になったために廃棄した際に発生する損失を記録するための勘定科目です。この損失は、損益計算書では「特別損失」に分類されることが一般的です。


固定資産除却損の背景

固定資産を除却する理由には以下のようなものがあります:

  1. 老朽化
  • 建物や機械設備などが老朽化し、使用不能になった場合。
  1. 経営戦略の変更
  • 経営方針の変更により不要となった設備や建物を除却。
  1. 自然災害による損傷
  • 火災、地震、台風などで資産が使用不能になった場合。
  1. 陳腐化
  • 技術革新や市場の変化により、設備や備品が陳腐化した場合。

固定資産除却損の計算方法

固定資産除却損は、以下の計算式で算定されます:

固定資産除却損 = 帳簿価額 + 除却費用
  • 帳簿価額:固定資産の取得価額から減価償却累計額を差し引いた金額。
  • 除却費用:資産の解体や廃棄にかかる費用。

固定資産除却損の会計処理

固定資産を除却した際には、帳簿価額を「固定資産除却損」として計上し、除却にかかった費用も含めます。


固定資産除却損の仕訳例

  1. 老朽化による設備の除却
    例:帳簿価額100万円の設備を廃棄し、解体費用10万円を現金で支払った場合
   借方:固定資産除却損 1,100,000円  
   貸方:設備 1,000,000円  
   貸方:現金 100,000円
  1. 減価償却済みの資産を廃棄
    例:帳簿価額0円の備品を廃棄し、廃棄費用5万円を支払った場合
   借方:固定資産除却損 50,000円  
   貸方:現金 50,000円
  1. 災害で損傷した建物の除却
    例:帳簿価額200万円の建物を除却し、処分費用20万円を支払った場合
   借方:固定資産除却損 2,200,000円  
   貸方:建物 2,000,000円  
   貸方:現金 200,000円

税務上の取り扱い

  1. 損金算入が可能
    固定資産除却損は、法人税法上、損金(経費)として認められます。ただし、事業活動に関連して発生した損失である必要があります。
  2. 消費税の取り扱い
    資産の廃棄自体は消費税の課税対象外です。ただし、除却に伴う費用(解体費用や廃棄費用)に消費税が含まれる場合があります。
  3. 帳簿価額の確認
    減価償却累計額を正確に計算し、帳簿価額を適切に把握する必要があります。

固定資産除却損の注意点

  1. 帳簿価額の正確な計算
    固定資産の取得価額から減価償却累計額を差し引いて算出した帳簿価額を正確に把握します。
  2. 除却費用の計上
    解体費用や廃棄費用を漏れなく記録します。
  3. 特別損失としての分類
    固定資産除却損は、損益計算書の「特別損失」に分類されるため、分類が正確であることを確認します。
  4. 事業用資産の範囲確認
    除却される資産が事業に関連しているかを確認します。個人的な資産は除却損として計上できません。

固定資産除却損の管理方法

  1. 固定資産台帳の整備
    固定資産の取得価額、減価償却累計額、帳簿価額を最新の状態に保ちます。
  2. 資産廃棄の計画的実施
    老朽化や不要な資産の廃棄を計画的に行い、不要な除却損の発生を防ぎます。
  3. 税理士との連携
    除却損の税務処理や消費税の取り扱いについて税理士に相談し、正確に処理します。
  4. 除却費用の記録
    解体費用や廃棄費用を詳細に記録し、計算の透明性を保ちます。

まとめ

「固定資産除却損」は、企業が固定資産を廃棄した際に発生する損失であり、正確な会計処理と税務対応が求められます。帳簿価額や除却費用の正確な計算と記録を行うことで、財務管理の透明性を高めるとともに、税務リスクを軽減できます。また、固定資産台帳を整備し、資産管理を徹底することで不要な損失の発生を防ぐことが重要です。

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