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執らず、害さず、道に生きる


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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第34偈)

人間のあいだにあって托鉢行によって生き、
つねに「わがもの」という観念が無く、
生きものを害うことなく、堅固で、
清らかな行ないを修し、道理をはっきりと知って説く人、

かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。


🔍 逐語訳(意訳)

  • 人々の中に身を置きながら、托鉢(=必要最小限の支援)で慎ましく生き、
  • 「これは自分のものだ」という所有観念にとらわれず、
  • 生きものを傷つけることなく、
  • 意志が強く、清らかな行動を行い、
  • 真理を理解し、他者にそれを説ける人――
    その人を仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。

🧘‍♂️ 用語解説

用語解説
托鉢行(ピンダパータ)衣食住を所有せず、他人の布施によって慎ましく生きる修行法。
「わがもの」という観念(ママカーラ)執着・所有欲・自己中心性を意味する心の状態。
生きものを害さない(アヒンサー)仏教で最も重要な徳のひとつ。非暴力・慈悲の原則。
堅固(ティタッタ)意志・信念・精神の安定と強さ。
道理(ダンマ)仏法・真理・宇宙的な秩序。倫理と精神の法。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

人々の中で慎ましく生き、
何ひとつ「自分のもの」とせず、
誰かを傷つけることなく、
意志強く、行ないは清らかで、
真理を理解し、それを人に語れる――
そうした人こそが、仏陀の説く〈バラモン〉である。


🧭 解釈と現代的意義

この偈は、世間の中にありながらも汚されずに生きる精神的姿勢を高らかに示します。
重要なのは、「人間社会から離れること」ではなく、そこに身を置きつつ、非執着・非暴力・真理の実践を貫くこと
現代においても、「利害関係」「所有欲」「優劣」「攻撃性」に満ちた社会の中で、
自他ともに害さず、淡々と、強く優しく、真理を体現する人間像はきわめて尊いといえるでしょう。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用・実践例
非執着のリーダーシップ部下やプロジェクトを「所有」せず、育て、譲り、利害を超えて導く上司。
非暴力の交渉姿勢利益のために相手をねじ伏せず、共生を志す交渉が信頼を生む。
言行一致の指導者自らの哲学や原理に基づいて生き、それを穏やかに語れる人は強く、周囲に安心感を与える。
最小の資源で最大の倫理必要最小限のリソースで成果を出す力は、真のプロフェッショナリズムを証明する。

💡 感興のことば:心得まとめ

「執着なき者、傷つけぬ者、語る者」

それが〈バラモン〉。

所有を主張せず、誰も害さず、
清らかにして、堅固に立ち、
真理を静かに語るその姿――
それが、導き手のあるべき形なのです。


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