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喜びを味わい、虚しさを恐れる ― 限りある命を真に生きる

天地は永遠に続いても、私たちの人生は一度きり。
百年という寿命でさえ、実際には瞬く間に過ぎ去ってしまう。

せっかくこの世に生まれ、生きているならば、その喜びを味わうべきである。
同時に、気づかぬうちに虚しく時を過ごしていないか、自らを省みるおそれも必要だ。

人生は有限だからこそ、味わうことと、慎むことの両方を意識して歩みたい。
楽しむ心と、律する心の両立が、後悔のない人生をつくる鍵である。


原文(ふりがな付き)

天地(てんち)には万古(ばんこ)有(あ)るも、此(こ)の身(み)は再(ふたた)び得(え)られず。人生(じんせい)は只(ただ)百年(ひゃくねん)のみ、此(こ)の日(ひ)最(もっと)も過(す)ぎ易(やす)し。幸(さいわ)いに其(そ)の間(あいだ)に生(う)まるる者(もの)は、有生(ゆうせい)の楽しみ(たのしみ)を知らざるべからず、亦(また)虚生(きょせい)の憂(うれ)いを懐(いだ)かざるべからず。


注釈

  • 天地には万古有る:宇宙や自然は永遠に続いているという意。対して人間の命は一時的であるという前提。
  • 此の身は再び得られず:今の自分の命は一度限りで、二度と得られないかけがえのないもの。
  • 有生の楽しみ:生きているからこそ味わえる喜びや充実感。日常の中の幸せ。
  • 虚生の憂い:人生を無為に過ごしてしまうことへのおそれ。怠惰や浪費への自戒。
  • 此の日最も過ぎ易し:一日はあっという間に過ぎ去ってしまう、という時間の儚さの表現。

パーマリンク(英語スラッグ)

  • live-fully-and-aware(楽しみながら目覚めて生きる)
  • joy-and-vigilance(喜びと自戒の心)
  • fleeting-life-true-living(儚い命に真の生き方を)

この条文は、「人生は一度きり」という普遍的な真理の上に、「楽しむ」ことと「慎む」ことのバランスを説いています。
現代にも通じるタイムマネジメントの心得としても活用できる内容です。

目次

1. 原文

天地有萬古、此身不再得。
人生只百年、此日最易過。
幸生其閒者、不可不知有生之樂、亦不可不懷虛生之憂。


2. 書き下し文

天地に万古有るも、此の身は再び得られず。
人生はただ百年のみ、此の日、最も過ぎやすし。
幸いに其の間に生まれし者は、有生の楽しみを知らざるべからず、また虚生の憂いを懐かざるべからず。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 天地に万古有るも、此の身は再び得られず。
     → 天地の歴史は果てしなく長く続くが、この身(=この人生)は二度と手に入らない。
  • 人生はただ百年のみ、此の日、最も過ぎやすし。
     → 人の一生はせいぜい百年程度、その中でも一日一日はあっという間に過ぎていく。
  • 幸いに其の間に生まれし者は、有生の楽しみを知らざるべからず、また虚生の憂いを懐かざるべからず。
     → この限られた時の間に生きる者は、命あることの喜びを味わわねばならず、また無意味に生きてしまうことへの憂いを忘れてはならない。

4. 用語解説

  • 萬古(ばんこ):果てしない時間、永遠。
  • 此身不再得(このみふたたびえず):この生命は一度きりであり、再び手に入らない。
  • 最易過(もっともすぎやすし):時間が過ぎ去るのがとても早いこと。一日はあっという間。
  • 有生之樂(ゆうせいのたのしみ):生きていること自体の喜び、生の充実感。
  • 虛生之憂(きょせいのうれい):空虚な人生、無駄に生きてしまうことへの悔い・悲しみ。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

天地の時間は永遠に続くが、この命は一度きりであり、二度と得られない。
人の一生はたった百年、その日々はあっという間に過ぎていく。
その限られた時間に生を享けた者は、生きることの喜びをしっかり味わうべきであり、無駄に過ごしてしまうことへの反省も忘れてはならない。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、**「有限の生と時間をどう生きるか」**という人生の根源的テーマを語っています。

  • 限りある命に対して、深い感謝と覚悟を持つこと。
  • 日々の過ごし方が、生の意味を決定するという厳しさ。
  • 喜びを享受することと、虚しさへの警戒を両立する精神態度。

仏教的な無常観と、儒教的な積極的倫理感を融合させた、非常に深い人生訓です。


7. ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

● 「一度きりのキャリア、一日一日が勝負」

人生もビジネス人生も有限。何となく過ごす一日は、貴重な機会を失う一日でもある。
日々を「ただの消化試合」にしない──それがプロとしての姿勢。

● 「成果だけでなく、意味ある“生”を実感せよ」

単に売上や数字を追い続けるのではなく、仕事の中に「自分が生きている意義」を見出すことで、真の充実が得られる。
やりがいや社会貢献への意識は、モチベーションの核になる。

● 「無駄な時間は、人生の借金である」

先送り、慣れ、惰性──これらは時間の浪費であり、取り戻せない損失。
戦略なき日常は、「虚生(むなしく生きること)」そのもの。
1日1ミリでも進む意識を持てば、時間が力に変わる。


8. ビジネス用の心得タイトル

「この命、再び得ず──喜びを知り、空しさに備えよ」


この章句は、時間・命・意義の三つを統合的に見つめる視点を与えてくれます。個人の生き方から、企業の価値観形成、働き方改革まで応用可能な普遍的な教えです。

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