経営計画書の最初のページには「配布先一覧」が掲載されています。この一覧には、社員の名前が序列に従って並んでいます。社員だけでなく、取引先金融機関も同様に序列が付けられています。この配置には、明確な意図があります。
社員の序列は360度評価で決まる
社員の序列は「課長以上の投票」によって決定されます。いわゆる360度評価の仕組みを取り入れており、複数の視点から公平に判断されるため、社員自身が文句を言いにくい仕組みとなっています。
この評価の基準は厳密である必要はありません。むしろ「適当」に序列を決め、その上で賞与の成績を加味して最終的な順位が決まります。このような方法を取る理由は、一つの指標だけで評価を行うと、社員が「都合の良い方向」へ流れてしまう傾向があるからです。
例えば、売上額だけを評価基準にすると、社員は原価を無視して売上を増やそうとするかもしれません。そのため、評価指標には「粗利益」と「営業利益」の2つを設定し、社員が単純に利益を最大化するだけではなく、バランスの取れた業績を目指せるようにしています。
取引先金融機関にも序列を付ける
配布先一覧には社員だけでなく、取引先金融機関の名前も記載されています。そして、これらにも序列が付けられています。その基準は非常にシンプルです。「どれだけ純粋な形で資金を貸してくれるか」です。
具体的には、借入金から定期預金を差し引いた「真水」での貸出金額を基準にし、単年度だけでなく数年間の実績をもとに順位を決定します。
よくある「給与振込を扱う銀行=メインバンク」という考え方は採用しません。給与振込を担当していても、資金を融通してくれなければ、メインバンクとは呼べないという考え方です。
フェアな評価の仕組みが信頼を生む
このような序列の付け方は、取引先の銀行にも良い緊張感を与えます。「フェアですね」と言われることも多く、銀行側も公平に評価されていると感じるからこそ信頼が生まれます。
最初のページに取引先の名前が掲載されることは、支店長にとって大きなプレッシャーになります。むっとする支店長もいるかもしれませんが、それこそが目的です。金融機関にも「気にしてもらう」ことが重要だからです。
なぜ配布先一覧を最初に載せるのか
この「配布先一覧」は経営計画書の中で、最も多くの人に注目されるべきページです。そのため、最初のページに掲載することで、社員や取引先金融機関に自社のスタンスや評価基準を明確に伝える意図があります。
社員には序列による公平性を、金融機関には資金提供に基づく信頼関係を示す。このリストがあることで、会社全体が一丸となり、透明性の高い運営が実現するのです。
- 最初に「配布先一覧」を掲載する
- 取引先金融機関にも序列をつける
いちばん最初に「配布先一覧」を掲載
社員の序列は、360度の衆目評価で決まる
経営計画書の最初のページは「配布先一覧」です。社員の名前が序列に従って掲載されています。序列の決め方は「課長以上の投票」によって決まります。360度の衆目評価で決まるので、社員が文句を言えないしくみです。
判断基準は、適当で構いません。適当につけた順位に賞与の成績をプラスすると、序列が決まります。
なぜ衆目評価なのか?一つの物差しで評価を行うと、社員は「楽な方」「得する方」に流れてしまうからです。
評価の指標を売上額に設定すると、社員は原価を引いて売ってくるようになります。そこで粗利益と営業利益という2つの利益で見ています。
ところが多くの中小企業は1つの物差しで判断しているから、社員のほうがお利口になってしまうのです。
取引先金融機関にも序列をつける
配布先一覧にあるのは、社員の名前だけではありません。取引先金融機関の名前も序列をつけて掲載。げんこつでお金を貸してくれる銀行が基本的に上です。
わかりやすくいうと借入から定期預金を差し引いて「真水」でお金を貸してくれた金額が多い順番です。単年度ではなく数年間にわたってという基準です。
普通の会社は、「給与振込」がある銀行がメインバンクだと考えがちですが、そうではありません。給与振込があってもお金を貸してくれなかったらメインでもなんでもない。
取引先金融機関にはよく、こう言われます。武蔵野さんはフェアですよね。と。お金さえ貸してくればすぐに序列は上がりますから。支店長にも配布している。最初のページを開いてむっとする支店長もいます。それこそが大切です。
多くの人に気にしてもらわなきゃいけないページだからこそ、一番最初に掲載している。
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