目次
📜引用文(第七章 第五)
五
身体によって善いことをせよ。ことばによって大いに善いことをせよ。心によって善いことをせよ。
汚れのさまたげの無い、無量の善いことを。
🔍逐語訳
- 身体によって善いことをせよ:行動によって他者を助け、奉仕や支援、礼儀を行え。
- ことばによって大いに善いことをせよ:誠実な語り、励まし、感謝、祈り、学びをもたらす言葉を惜しまず用いよ。
- 心によって善いことをせよ:慈しみ、忍耐、共感、誠実さなど、内面の清らかさを育め。
- 汚れのさまたげの無い、無量の善いことを:煩悩や執着に妨げられることなく、限りない善を実現せよ。
🧩用語解説
- 無量の善(アパリマーナ・クサラ):「無限に広がる善」「量では測れない心の善性」。慈悲喜捨の四無量心や、清らかな布施・思いやり・正見などに象徴される。
- 汚れのさまたげの無い:煩悩(貪欲・怒り・無知)に妨げられず、純粋な動機と心でなされる行為。
🧘♂️全体現代語訳(まとめ)
この節は、身・口・意による悪しき行いを捨てるだけでなく、それぞれを用いて積極的に「善をなせ」と促すものである。しかも、その善は「無量」であり、心の汚れが取り除かれたときには、限りなく広がる慈しみと行動が可能になると説かれている。
📖解釈と現代的意義
「悪をなすな」と言われるだけでは不十分で、「善をなせ」と具体的な行動を伴って示されるところに、この教えの実践力があります。
そして重要なのは、「量」ではなく「質と純度」。表面的な善意ではなく、心から溢れ出す誠意と愛があってこそ、善行は人に届くのです。たとえ小さな行為でも、心が澄んでいれば、それは無限の価値を持ちます。
💼ビジネスにおける応用
視点 | 適用例 |
---|---|
日常業務への誠意 | 挨拶、清掃、返信、報告など、当たり前の行為にこそ「善意」を込めて実行すれば、職場の空気が整う。 |
言葉の力で支える | 後輩や仲間をねぎらう一言が、相手の成長とモチベーションを大きく支える。 |
心の在り方が成果を変える | 顧客対応・企画提案・マネジメントなど、心から相手のためを思って行う行為は、相手の反応と信頼に表れる。 |
無私の行動 | 利害を超えた善意の行為は、必ず周囲に伝播し、長期的に大きな影響をもたらす(サーバント・リーダーシップなど)。 |
🧭心得まとめ(座右の銘風)
「善は行うたびに広がり、深まる」
手で行う善、口で語る善、心で願う善――
それらは、汚れなき意志とともに、無限の広がりを持つ。
一つの善を、三つの器(身・口・意)で満たし、
この世界に光を点してゆこう。
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