目次
📖引用原文(日本語訳)
一二*
修行僧のこの舟から水を汲み出せ。
水を汲み出したならば、舟は軽やかになるであろう。
情欲と怒りとを断ったならば、
汝は安らぎ(ニルヴァーナ)におもむくであろう。
🔍逐語解釈と用語の意味
表現 | 解釈 |
---|---|
舟(ナーヴァ) | 自己、人生、修行の歩みのたとえ。 |
水を汲み出せ | 煩悩や執着を捨てること。放置すれば沈没の原因となる「重し」。 |
情欲(カーマ) | 感官的な快楽、執着。五欲(色・声・香・味・触)への渇望。 |
怒り(ドーサ) | 自己や他人への憎しみ・敵意・反発。 |
安らぎ(ニルヴァーナ) | 欲・怒り・無知の三毒を滅し、輪廻から解放された心の静寂。 |
🧘♂️全体の現代語訳(まとめ)
人生という舟は、そのままでは水(煩悩)が入り込んで沈もうとする。
だから、煩悩という水を汲み出す必要がある。
特に、「情欲」と「怒り」という二大の重荷を取り除くならば、
この舟は軽やかに進み、やがて安らぎ(ニルヴァーナ)という岸にたどり着くだろう。
💡解釈と現代的意義
この句は、「人生を妨げるものは外から来る嵐ではなく、内側に溜まった水(煩悩)である」と教えています。
- 「情欲」=何かを過剰に求める心
- 「怒り」=何かを拒絶し傷つける心
これらは現代の悩みや争いの根源であり、放っておけば舟(=心)はどんどん沈んでしまいます。
解決法は明快です:「汲み出せ」。
つまり、執着と怒りを見つけ、手放していくことが、進む力・軽やかさを生むということ。
💼ビジネスにおける適用
観点 | 適用内容 |
---|---|
内面の整備が成果の前提 | パフォーマンスを上げたいなら、まず「足を引っ張る感情(怒り・執着)」を手放すこと。 |
リーダーシップと感情管理 | 情熱は必要でも、情欲に飲まれたり、怒りに支配されると判断を誤る。冷静な視点が「舟」を進める鍵。 |
ミニマリズム的経営姿勢 | 欲しすぎず、競いすぎず、「軽やかに進む」組織文化は、変化にも強く持続性が高い。 |
ストレスマネジメント | 怒りや欲望がストレスの水を増やす。「感情の排水」が健やかさの基本。 |
✅心得まとめ
「人生という舟を沈ませるのは、外の波ではない。内に溜まった水(煩悩)である。」
情欲を手放し、怒りを捨てることで、
あなたの歩みは軽くなり、心は遠くまで進むことができる。
修行僧だけでなく、現代人もまた舟を漕いでいる旅人です。
進めなくなったとき、外の環境よりもまず、**「舟の中に水が溜まっていないか?」**と静かに問うべきなのです。
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