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教えは、心に灯る識別の光


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■引用原文(日本語訳)

五 眼のある人は燈火によって種々の色かたちを見るように、
ひとは教えを聞いて、善悪のことがらを識別する。
――『ダンマパダ』 第二二章 第五節


■逐語訳

  • 眼のある人:視力を持つ者、つまり感覚器官としての眼を備えた人。
  • 燈火によって見る:光があって初めて、色や形を識別できる。
  • 教えを聞くこと:仏法や賢者の言葉を耳にし、心に取り入れること。
  • 善悪の識別:道徳的・実践的な判断力。正邪・是非を見分ける智慧。

■用語解説

  • 燈火(とうか):仏教ではしばしば「智慧」の象徴として使われる。闇(無知)を照らすもの。
  • 種々の色かたち:この世の事象・現象・選択肢の多様さを象徴。
  • 教えを聞く(聞法):ただ聴覚的に受け取るだけでなく、内省し理解し、行動に活かす「深い聴き方」。
  • 善悪の識別:単なるルール判断ではなく、時と場合に応じた柔軟な倫理的選択を含む。

■全体の現代語訳(まとめ)

眼があっても光がなければ、世界の姿を正確に見ることはできない。
それと同じように、人は知性を持っていても、正しい教え(真理の光)を受けなければ、善と悪を見分けることができない。
教えとは、心の中に光を灯し、曖昧な現実を明晰に見せてくれるものなのだ――と仏陀は説いている。


■解釈と現代的意義

この詩句は、第四節の内容(知識だけでは善悪の判断はできない)に続き、「ではどうすれば見えるのか?」という答えを与えています。
それは、教えを聞くこと=智慧の光を灯すことです。

現代では、自分の判断で動くことが重要視されますが、自己判断には限界があります。偏見や感情、環境要因に左右されやすいのが人間だからです。
だからこそ、他者の経験・哲学・歴史・宗教・倫理――それらの「教え」は、私たちが混乱の中で正しく道を選ぶための「光」になるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
倫理的判断企業倫理やコンプライアンスは、知識ではなく「判断の灯火」。先人の言葉や理念が、それを明るく照らす。
教育と指導部下や新人は「知識がある」だけでは判断できない。指導者の教えがあって初めて、行動の正しさが見えてくる。
意思決定多様な選択肢がある中で、「何を善とするか」を明確にするために、価値観や理念(教え)を共有することが重要。
ビジョン形成リーダーに必要なのは、未来の不確実性の中でも「善悪を照らす光=理念」を持ち、それを語り継ぐこと。

■心得まとめ

「智慧の灯火なくしては、どれほど眼があっても、真実は見えない」
人間の判断は、目のように機能する知性だけでは不完全である。
真理の光=教えを受けて初めて、色や形――つまり物事の正体・意味・価値――が見えてくる。
だからこそ私たちは、学び、聞き、教えを求め続けなければならない。
それが、混沌とする現代を歩く私たちにとっての「智慧の灯火」となるのです。


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