目次
📖 引用原文(日本語訳)
九
生きとし生ける者どものあいだにあって、
信仰と知慧とを得た賢い人にとっては、
それが実に最上の宝である。
そのほかの宝はつまらぬものである。
📝 逐語訳
- この生ある者たちの世界において、
- **信仰(シュラッダー)と智慧(プラジュニャー)**を手にした者にとっては、
- それらがこの世で最も貴い宝である。
- 名声や富など、他のいかなる宝も、それに比べれば取るに足らぬものとされる。
🧩 用語解説
- 生きとし生ける者(プラーニン):
命あるすべての存在。人間のみならず、動植物・動くすべてのものを含む。 - 信仰(シュラッダー):
心の奥底にある「正しきもの」への信頼。自己・真理・宇宙の理への確信。 - 智慧(プラジュニャー):
単なる知識ではなく、「真理を見抜く目」。生死を超えて物事を洞察する能力。 - 最上の宝(シュレーヤス・ナイダナム):
永続的な価値を持ち、失われることなく人を導く、内的な資産。 - その他の宝:
富、名誉、地位、快楽など。外的・一時的なものであり、時間や状況によって失われる可能性があるもの。
💡 全体の現代語訳(まとめ)
この世界に生きる無数の命のなかで、
信仰と智慧という宝を得た人にとって、
それらは最も尊く、他のすべての宝は色あせて見える。
それは、決して失われない本当の価値を持っているからである。
🔍 解釈と現代的意義
この節は、人生において何を「本当の宝」とみなすべきかという価値観を根底から問いかけています。
お金・名声・所有物などは状況や運によって得られたり失われたりする「流動的な資産」です。
一方で、「信仰と智慧」は、
- 苦しみに直面したときの支えになり、
- 判断に迷うときの光となり、
- 死を迎えるときさえも、その人の魂を導く——
**つまり、いかなる状況でも力となる「永続的資産」**なのです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
本質的価値の見極め | 一時的な売上や賞賛よりも、理念や志を持ち、学び続ける姿勢が長期的な成功に直結する。 |
意思決定の指針 | 組織としての「信じること」(ミッション)と「見通す力」(戦略的洞察)が経営の核になる。 |
人材育成における重点 | 技能よりも「人格」と「価値観」を育てることで、変化に強い組織がつくられる。 |
企業文化の柱 | 文化の中核に「信頼・誠実・探究」を据えることで、持続可能な成長と高い社会的評価が得られる。 |
✨ 心得まとめ
「失われぬ宝を持つ者は、もはや揺るがぬ者である」
信じる心と、深く物事を見通す智慧こそが、
この世において何よりも大切な財である。
バガヴァッド・ギーターは告げる——
「移ろうものにとらわれず、不変の価値を見よ」
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