目次
■引用原文(日本語訳)
偽善、尊大、高慢、怒り、粗暴、無知。以上は阿修羅的な資質に生まれた者に属する。アルジュナよ。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第4節)
■逐語訳(一文ずつ)
- 偽善(ダンバ)
- 尊大(ダルポ)
- 高慢(アビーシャナ)
- 怒り(クローダ)
- 粗暴(パルシャタ)
- 無知(アグニャーナ)
これらは「アスラ(阿修羅)的資質」に属する。
アルジュナよ、これらは魂を堕落へと導く性質である。
■用語解説
- 偽善(ダンバ):善人を装い、実は利己心で動く二面性。
- 尊大(ダルポ):他者を見下し、自己を誇示する態度。
- 高慢(アビーシャナ):自らを過大評価し、謙虚さを失う状態。
- 怒り(クローダ):衝動的に感情を爆発させること。
- 粗暴(パルシャタ):言葉や態度において、他者を傷つける無礼さ・乱暴さ。
- 無知(アグニャーナ):真理や倫理を知らず、盲目的に行動する状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
バガヴァーン・クリシュナはここで、魂の堕落をもたらす「阿修羅的な資質」として、傲慢さ・怒り・偽り・粗暴・無知などの性質を列挙する。これらは神的資質とは正反対であり、自己と他者の破滅を招くものであると警告している。
■解釈と現代的意義
この節は「何が人格を腐敗させるのか」を明確に示している。現代社会においても、偽善的態度や慢心、怒り、攻撃的な言動、自己正当化は、信頼と人間関係を壊す根源となる。クリシュナの教えは、内なる毒に自覚的であることの大切さを訴えている。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネスへの警鐘・対応策 |
---|---|
組織破壊要因 | 偽善(見せかけだけの価値観)、怒り(感情的マネジメント)、無知(学ばない体質)は企業文化を腐らせる。 |
リーダーシップの罠 | 高慢・尊大な態度は、一時の権威にはなっても、やがて人心離反を招く。 |
自戒の必要性 | 自分の言動が知らず知らずに「粗暴」や「偽善」になっていないか、常に内省し続けること。 |
健全な職場文化 | 怒りや誇示より、対話・共感・謙虚さを重んじる文化が、持続可能な成果を生む。 |
■心得まとめ
「誇りすぎる者は、自らを見失う」
真の危機は外から来るのではない。心の内にある「偽り・怒り・無知」こそが、自らを破滅に導く毒となる。
神的資質とは鍛えて得るものであり、阿修羅的資質とは気づかぬうちに育ってしまうものである。だからこそ、私たちは日々「自らの内面を照らす光」を忘れてはならない。
コメント