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皇太子にこそ師友を与え、徳と識見を育てよ

――過保護では君主は育たぬ

高宗(李治)が初めて皇太子に立てられたとき、太宗は彼を手元に置き、東宮へ移すことを避けた。
だが、散騎常侍の劉洎(りゅうきつ)は、それでは皇太子が学ぶ機会を失うとして、丁寧かつ情熱的な諫言を行った。

劉洎は説く。
皇太子が民の声に耳を傾け、師友に学び、書を読み、政治や礼の道理を体得することで、はじめて将来の治世を担う君主としての器が育まれる。
人間は孤立したままでは成長できない。古の聖賢も皆、師に学び、交友を得てこそ徳を磨いた。

皇太子を甘やかしてはならない。
たとえその資質が優れていようとも、見聞が狭く、正人との接触がなければ、やがて怠惰に流れ、道を誤る。
この諫言を受け、太宗は劉洎・岑文本・馬周を交代で東宮に遣わし、皇太子と日々議論させたのであった。


引用とふりがな(代表)

「人のために功を成すには、必ず外よりの助けを要す」
(ひとの ため に こう を なす には、かならず そと より の たすけ を ようす)

「良いことを急がずに放置して、成功した例はない」
(よい こと を いそがず に ほうち して、せいこう した ためし は ない)


注釈(簡略)

  • 劉洎(りゅうきつ):唐の名臣。率直な諫言で知られ、皇太子教育にも深い関心を寄せた。
  • 師友(しゆう):学問・人格の向上を支える「師」(導く者)と「友」(切磋琢磨する者)のこと。
  • 東宮(とうぐう):皇太子の官署・居所。皇帝の私的空間から独立させるのが通例。
  • 自立(じりつ):ここでは、人格的自立、政治的判断力の育成を含む。
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