目次
📜引用（原典）
聖バガヴァットは告げた。
「行為の放擲と行為のヨーガとは、共に至福をもたらす。
しかし、その両者のうちで、行為のヨーガは行為の放擲より優れている。」
＊『バガヴァッド・ギーター』第5章第2節
🔍逐語訳
神（バガヴァーン＝クリシュナ）は語った。
「行為（カルマ）を手放すこと（放擲）も、行為を通してのヨーガ（カルマ・ヨーガ）も、共に解脱の喜びをもたらす。
しかし、両者のうちでは、カルマ・ヨーガの方がより優れた道である。」
🧩用語解説
- 行為の放擲（サンニャーサ）：社会的・宗教的義務から離れ、禁欲や瞑想などに専念する人生観。
- 行為のヨーガ（カルマ・ヨーガ）：行為そのものを避けず、義務として果たしつつ、結果への執着を捨てて実行する精神態度。
- 至福（アーナンダ）：悟りや解脱によって得られる、深い安らぎと喜び。
- 優れている（シュレーヤス）：魂の成長においてより実践的で完全に近い道を意味する。
🧘♂️全体現代語訳（まとめ）
クリシュナ神は、行為そのものをやめる道（放擲）と、行為をしながらも執着しない道（ヨーガ）をともに価値あるものと認める。しかし、社会や現実から逃避するのではなく、日々の行為を通して精神を清めていくカルマ・ヨーガこそが、より優れた自己実現の道であると説く。
📖解釈と現代的意義
私たちは、問題やストレスから「逃げたい」と感じるとき、すべてを放り出すことに「自由」や「悟り」の幻想を見ることがある。しかし、この教えは、それが真の智慧ではないことを示している。
真の成熟とは、行動の現場に身を置いたまま、そこにとらわれない心を養うことである。つまり、外的な静けさを求めるよりも、内的な静けさを築くことが、より難しくも高貴な道なのだ。
💼ビジネスにおける応用
| 視点 | 適用例 |
|---|---|
| 実行と責任 | 問題から逃げずに「やるべきこと」を淡々と果たす人が、最も信頼される。 |
| 結果への執着の手放し | 成果や評価に一喜一憂せず、過程に誠実であることが持続力を生む。 |
| リーダーシップ | 命令するのではなく、行動しながら導くリーダーが、組織の芯となる。 |
| 精神のバランス | 多忙な日常の中でこそ「動中の静」を保てることが、真の安定につながる。 |
🧭心得まとめ（座右の銘風）
「行動をやめるな、執着をやめよ」
禅のように黙して坐すだけが悟りではない。
行動の渦中にあってこそ、無執着と自由の境地は深まってゆく。
ビジネスの現場においても、問題を避けるのではなく、向き合いつつ動じない――その態度こそが、信頼と成果を生む真の力である。
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