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行動をやめるな、執着を手放せ


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■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「聖仙たちは、放擲とは願望成就のための諸行為を捨てることであると見なす。また賢者たちは、捨離とは一切の行為の結果を捨てる(顧みない)ことであると説く。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第2節)


■逐語訳

バガヴァーン(神)は言った:
「聖なる賢者たちは、放擲とは、欲望の成就を目的とする行為を放棄することと見なす。賢明な人々は、捨離とは、行為の結果を捨てることであると説いている。」


■用語解説

  • 放擲(サンニャーサ):動機が欲望(成果・利益)に基づいた行為(欲望行為)を手放すこと。行為そのものの放棄に近い。
  • 捨離(ティヤーガ):行為は行うが、その「結果」や「報酬」への期待・執着を手放すこと。精神の自由に通じる。
  • 聖仙(ムニ):聖なる沈黙を守る者。精神的完成を遂げた賢者。
  • 行為の結果(カルマ・パラ):行為によって生じる果報や利益、名声、賞賛など。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、「放擲」と「捨離」の意味について伝統的な解釈を明示する。
前者は、欲望を動機とする行為そのものをやめること(=動機の否定)であり、後者は行為は行いつつも、その結果に執着しないこと(=執着の否定)であると整理されている。両者は似て非なるアプローチであり、特に捨離には、現実と向き合いながら精神の自由を得るという深い意味が込められている。


■解釈と現代的意義

この節は、「何を手放すべきか」の核心を示しています。外的な行為(仕事・人付き合い・活動)をやめることが真の自由ではない。むしろ、心の奥にある「結果への執着」を手放すことで、行動を続けながら自由でいられる――それが、ギーターの説く「捨離」です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
目標管理成果を目指すこと自体は良いが、それに固執しすぎると柔軟さを失う。結果を求めつつ、執着しない心が成長につながる。
評価と報酬評価や報酬を目的に行動すると疲弊する。やるべきことを正しく行い、結果は自然とついてくるという姿勢が長期的に信頼を生む。
リーダーシップ部下やチームに対しても、行為自体を否定するのではなく、「その動機と姿勢」に目を向けさせることで、持続可能な働き方を促す。

■心得まとめ

「やるべきことを、やる。ただし結果に心を奪われるな」
放擲は「行為を捨てる」ことだが、捨離は「執着を捨てて行為をする」こと。私たちは、行動を止める必要はない。むしろ、結果へのこだわりを手放すことで、より自由に、より誠実に生きることができる。

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