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■引用原文(日本語訳)
「しかし、それらの行為は、執着と結果とを捨てて行われるべきである。アルジュナよ、これが私の最高の結論である。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第6節)
■逐語訳
しかし、それら(祭祀・布施・苦行)の行為は、
執着(アースティ)と結果(パラ)を放棄したうえで、実行されるべきである。
アルジュナよ、これこそが私(クリシュナ)の至上の結論である。
■用語解説
- 執着(アースティ):自我や欲望に基づく所有意識。「自分のために」「自分がやった」などの囚われ。
- 結果(パラ):行為から期待される報酬・成果・称賛など。
- 最高の結論(ニチヤ・マタ):真理に照らした最終的な教え。心の自由と魂の解放につながる実践指針。
■全体の現代語訳(まとめ)
祭祀・布施・苦行といった意味ある行為は、続けるべきだ――ただし、その動機として「自分が得るもの」や「評価されたい」といった執着や期待は手放すべきである。
クリシュナは、義務としての行為を行いながらも、心の自由を保つという「カルマ・ヨーガ」の核心を、この節において最終的な結論として提示している。
■解釈と現代的意義
この節は、行為の価値を否定せず、「心の姿勢」に焦点をあてています。
やるべきことはやる。しかし、そこに「私が」「報われたい」「褒められたい」という欲が混ざると、行為は自己中心的になり、苦悩のもととなる。
本当の自由は、行動しながら執着を手放すところに生まれる――それがギーターの「最上の結論」です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
動機の純粋性 | 昇進・賞与・表彰のためだけに働くと、心が疲弊する。義務と貢献の精神で働けば、精神的にも安定する。 |
目標達成 | 成果を求めて努力することは良いが、過剰な期待や評価への執着が焦りや不安を生む。誠実な努力に集中すべき。 |
マネジメント | 部下の行動を「数字」や「結果」だけで評価するのではなく、意図や姿勢にも目を向けることで、組織全体の質が上がる。 |
■心得まとめ
「手放すべきは、結果ではなく執着である」
ギーターは、何もしない道ではなく、「無執着の行動」の道を勧めている。
行為を通して自我を超えること。心の自由と誠実な実践こそが、人生と仕事の両方を清める最上の道である。
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